先ほど紹介した「教授」の実験でこの点が証明されている。ひげを生やしているという点が同じでも、その教授の所属が有名大学だと説明した場合と、無名大学だと説明した場合があった。すると、「ひげを生やしている」という非同調性がプラスの印象となるのは、教授が有名大学に属している場合だけだった。
非同調型で、なおかつ無名大学に属している教授の能力に対する評価は、同じ無名大学に所属する同調型の教授と比べて、8%低かった。
非同調型の行動は能力やステイタスに関する他者からの認識を高めるが、それは当人がすでに高いステイタスをもっているという評価があってこそ、当てはまる。このバイアスが既存のステイタスをひっくり返すことはない。すでにあるステイタス評価を強調するだけなのだ。
人は自分の能力を過信する
宣伝したいブランドには、レッドスニーカー効果で強調されるようなステイタスがあるのかどうか、考えてみてほしい。といっても、この点を正直に認めるのは言うほど簡単ではない。人は自分の能力を過信するものだ 。マーケターも例外ではない。
私が広告会社ザ・マーケティング・プラクティスとともに行った調査で、マーケティングにたずさわる213人を対象に調べたときも、この点は歴然と結果に表れた。回答者の84%が、自分は同業者よりもいい仕事をしていると答え、45%は「ずっといい仕事をしている」と答えた。
この過信は勤め先にも向けられていた。回答者の79%は、自分が勤めている会社は競合他社よりも優れていると答えた。さらに、競合他社2社と争って新規案件獲得のセールスピッチをするというシナリオを提示すると、回答者の75%が、自社だけで売り込みをかけるシナリオよりも高い確率で、自社が案件獲得に成功するという見込みを答えるのだった。
つまり、あなたがマーケターとして、自社ブランドはレッドスニーカー効果を採用できるほどのステイタスはない、と考えるのであれば、おそらくあなたは正しい。自社ブランドにはステイタスがある、と考えるのであれば、もうちょっと冷静に検討してみたほうがいいかもしれない。
(翻訳:上原裕美子)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら