オスカーでの人種差別を米メディアが書かない訳 ロバート・ダウニー・Jr.がアジア系俳優を無視?
「ハリウッド・リポーター」は、ヨーのインスタグラムについてのみを報道した。テレビでは、エンターテインメント専門のケーブルチャンネル「E!」がソーシャルメディアで起きたダウニー・Jr.に対する批判について取り上げたが、紹介された投稿は彼の「失礼な態度」にフォーカスするもので、「人種差別」という言葉は一切使われていない。
それにはもちろん理由がある。今のアメリカにおいて、「人種差別」は最悪のレッテルだからだ。そう決めつけられることは、キャリア凋落の決定打になりえるほど重大なこと。だからこそヨーは素早くストーンのためにフォローをしたし、主要メディアも簡単にソーシャルメディアの騒ぎに飛び乗ることをしないのである。
ダウニー・Jr.やストーンが実際に人種差別発言をしたのなら、話は別だ。もしそんなことがあれば、どこも大きく取り上げて批判するだろう。「メキシコ人はレイピストだ」とスピーチで断言したトランプ前大統領はまぎれもない人種差別者で、そう呼ばれるべきである。
失礼だったが、人種差別とは限らない
しかし、今回の件に関しては、すべて行動の解釈、臆測にすぎない。ストーンの行動についての人の解釈が間違っていたことはヨーのおかげではっきりしたが、ダウニー・Jr.が意識的であれ、無意識であれ、「アジア系だから」という理由でクァンと目を合わせなかったのかは、誰にもわからないのだ。
プレゼンターがもし白人だったとしても、個人的によく知らない人だったら、オスカー受賞という人生で初の経験に酔っている状態の彼は、その人を素通りして知り合いであるロビンスをハグしたのだろうか。その問いには、そういった状況にならない限り、答えようがない。よって、今回のダウニー・Jr.の行動が人種差別にもとづくものだと決めつけることはできないのである。
人種差別がアメリカ(だけではないが)に根強いのは事実。これは、多くの人を感情的にさせる事柄でもある。だが、その深刻さを知っているなら余計に、その言葉を使うにあたっては慎重になるべきだ。アメリカの主要メディアの今回の反応、いや、無反応は、それを理解したもの。誰かの人生で最高の瞬間が、単なる臆測によって台無しにされることに軽々しく加担しなかったメディア各社に、筆者は賛同する。
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