横浜線直通計画もあった「みなとみらい線」秘話 2024年で開業20年、距離は短いが工事は難航

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途中、東白楽駅と反町駅の中間地点には「新太田町駅跡」を示す碑が設置されている。同駅は1926年2月の開設後、戦時中に空襲を受け、1946年5月に廃止。1949年に日本貿易博覧会が反町付近で開催されたときには、会期中(3月15日~6月15日)のみ博覧会場前駅(臨時駅)として復活した歴史がある。そのほか緑道上には、東横線の鉄道橋(東横フラワー緑道反町橋)やトンネル(高島山トンネル)が活用されている部分もある。

東横フラワー緑道 東白楽―横浜
東横フラワー緑道。ボードウォークにレールがはめ込まれている区間もある(筆者撮影)

一方、横浜―桜木町間の整備は、ほとんど進んでいない。同区間は、ほぼ廃止時のまま高架構造物が残されており、これを活用した遊歩道として整備される計画が立てられている。だが、これまでに市の財政状況の悪化などを理由に何度か工事が延期されてきた経緯があり、廃止から20年が経過した現在に至っても、桜木町駅前から紅葉坂交差点付近までのわずかな距離(約140m)が公開されるにとどまっている。

桜木町付近 旧東横線高架橋
桜木町駅付近の旧・東横線高架橋。紅葉坂から横浜駅方はフェンスが閉められ非公開の状態(筆者撮影)

残る2kmの整備はどうなる?

では、残りの紅葉坂から横浜駅まで約2kmの整備・公開予定はどうなっているのだろうか。整備を担当する横浜市都市整備局都市交通課に問い合わせたところ、次のような回答だった。

「高架構造物の耐震性を点検したところ、コンクリートの剥落(はくらく)等が見られたため、補修や一部構造物の取り壊しが必要となった。とくに旧・高島町駅付近では構造物に大きな傷みが見られたため活用を断念し、現在取り壊しを進めている箇所がある。こうした状況から、これまでの計画は一度リセットし、2022~2024年にかけて基本計画を練り直している。その後に整備を進めるため、公開時期は今のところ未定」

遊歩道全体の完成は、まだまだ先になりそうだが、今後、横浜駅周辺のまちづくりビジョンである「エキサイトよこはま22」の中に構想として示され、「実現に向けて検討・調整等を行っている」(横浜市都市整備局都心再生課)という「線路上空デッキ」との接続なども考慮されるのかもしれない。

横浜―桜木町間の沿道や桜木町駅周辺には、2代目横浜駅舎の基礎部分のレンガ遺構や「鉄道創業の地」の碑など、我が国の鉄道の歴史を知るうえで貴重な史跡がいくつかある。遊歩道を歩きながら、こうした史跡をのんびりと巡ることができる日が来るのを楽しみに待ちたい。

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森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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