三菱商事が「ローソンを非上場化」する真の狙い 「KFC売却」も俎上、聖域なき中西社長の事業再編
では、三菱商事がローソンの経営を手放すつもりかといえばそれはまったく違う。
「ローソンにはポテンシャルがある。それを引き出すために三菱商事に加えて、パートナーを入れることで(成長を)加速させる」
こう話すのは、4月から三菱商事でリテイル本部長に就任する鶴田紀章氏(現リテイル本部担当部長(CVS)兼コンシューマーマーケティング部長)。2020年にはローソンに出向し、2022年に復社するまで同社で執行役員マーケティング戦略本部長を務めたキーパーソンだ。
KDDIに議論を持ち掛けたのは三菱商事
公表資料によれば、2022年12月から協議に加わった別の「パートナー候補者」がいた。複数の関係者によれば、この「候補者」はENEOSホールディングスを指す。だが、2023年12月下旬に酒席でのセクハラ行為による社長の解任騒動があり、同社は協議から離脱する。
ENEOSの協議離脱から1カ月余り。一見すると、思わぬトラブルに見舞われドタバタで発表されたようにも見える三菱商事とKDDIとの「共同経営」体制だが、関係者の1人は「ENEOSが抜けても事業構想に大きなブレはなかった」と言い切る。
そもそも「サービスステーション(SS)とコンビニの併設は何度やってもうまくいったためしがない。アメリカと違い日本ではコンビニとガソリンスタンドの客層がまったく違う」(エネオスOB)と言われるように、石油元売りのコンビニ経営は失敗の山を築いてきた。「ENEOSはとくに顧客連携を望んでいた」(関係者)との指摘もあるが、協業で何を目指したのかは不明だ。
一方、KDDIは、2019年12月に「次世代コンビニの開発」を標榜し、ローソンに2.1%出資している。三菱商事が立ち上げ、KDDIも参画する共通ポイント「Ponta」がローソン最大の会員基盤ということもあり、両社は密接な関係を築いてきた。
2023年5月に資本関係の見直しを含む議論を持ち掛けたのは三菱商事だった。「KDDIとは2019年から足掛け5年ほどずっとローソンの企業価値向上に向けた議論をしてきた。その間に積み重ねた信頼関係の中で2023年5月、KDDIに『ローソンにコミットしよう』と思っていただけた」(鶴田氏)。
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