三菱商事が「ローソンを非上場化」する真の狙い 「KFC売却」も俎上、聖域なき中西社長の事業再編
2月の記者会見で中西社長は、「三菱商事だけではローソンの企業価値を上げるのには限界がある」と認め、「グループとしても食品デリバリーなどのアドオン(機能追加)をしてきたが、これ以上追加でサポートできるか悩んでいた」と明かした。
ローソンは店舗数だけでなく日販(1店舗当たりの平均日商)でも2021年にファミリーマートに抜かれ、業界3位が定位置となった。時価総額も三菱商事が子会社化を発表した2016年以降、長らく低迷が続いてきた(下図)。
SMBC日興証券の森本晃シニアアナリストは、「株価が一番正直な経営の通信簿だ。直近ではローソンの業績も回復し株価も上がってきているが、これまでの軌跡を見ると三菱商事の経営陣はローソンの企業価値を毀損し続けてきた」と話す。
ローソンの資産効率改善は市場からの要請
ローソンは2024年2月期に純利益500億円の見通し(前期比68%増)と業績は好調だが、市場からは資産効率の改善を要請されてきた。
今回の出資比率低下は0.1ポイントとわずかだが、ローソンは三菱商事の子会社から外れ、持ち分法適用会社となる。総資産2.2兆円のローソンが連結から外れることで三菱商事のROA(総資産利益率)も改善される。持ち分化でも50%分の利益は取り込むことができ、2025年3月期には1200億円の再評価益も計上する。
ローソンだけではない。目下、三菱商事は35%超保有している日本KFCの全株式売却も検討している。
三菱商事は、2022年に策定した中期経営戦略で「循環型成長モデル」を掲げている。「利益は出ていても、われわれのガイドラインレート(期待利回り)を超えていないものは売却していく」(野内雄三CFO)との言葉通り、日本KFCを含めあらゆる事業で期待通りの成長が見込めなければ躊躇なく俎上に載せる。
森本氏は、「資産効率の悪いローソンに手を打てるか、市場は注目していた。三菱商事の変化を認知させる象徴的な案件で、中西社長の評価は上がるだろう」と話す。
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