中国版新幹線は独自開発? 特許申請が起こす波紋

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日本側の甘さも露呈

08年に開業した北京-天津線を走る「CRH2」もまた、E2系をベースに開発された。だが、無断で改良を施し、規定の時速275キロを大幅に超えた時速350キロでの運転が発覚。川重とJR東が抗議し、CRH2をほかの低速運転区間に転出させた。

「原因は日本側の技術供与契約の詰めの甘さにある」と技術ライターの川辺謙一氏は指摘する。「民営化後にJR各社が新幹線車両を開発する中、どこまでが旧国鉄の技術かがわかりにくくなり、JR各社やメーカーも技術管理が難しくなった。このすきを中国に突かれたのではないか」。

川重の世界市場向け高速鉄道車両「efSET(イーエフセット)」には、同社が開発した新幹線の技術が使われている。仮に中国の特許が認められた場合、逆に中国から特許侵害と訴えられかねない。「鉄道産業のグローバル化が進む中、日本の特許戦略は出遅れた」と、JR東の冨田哲郎副社長は悔しさをにじませる。新たに露呈した技術管理の問題は、日本の鉄道輸出の足かせになりかねない。

(大坂直樹 =週刊東洋経済2011年7月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

photo:wodhks123 Creative Commons BY-SA
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