中国版新幹線は独自開発? 特許申請が起こす波紋

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中国版新幹線は独自開発なのか--。中国の鉄道車両大手、中国南車の特許問題が波紋を呼んでいる。

中国の高速鉄道は日本やドイツから技術供与を受けて開発されてきた。ところが、6月末に、南車が高速鉄道に関する技術を独自開発したとして、日米欧など5カ国で特許申請に着手したのだ。

南車が特許申請した「CRH380A」は最高時速486キロを記録、時速350キロの営業運転性能を持つ。この車両のルーツをたどると、行き着くのは東北新幹線E2系「はやて」。はやては営業最高時速275キロにとどまり、中国側はそれを超える技術を独自開発したと主張する。

もっとも、高速化が中国の独自技術とは言い切れない。日本のE2系も2003年の高速走行試験で時速362キロを記録しており、「車輪とモーター間の歯車比を変えるなどの変更だけでスピードは出せる」(業界関係者)。

さらに、営業運転となれば、スピード以外に考慮すべき点が出てくる。日本の場合は騒音規制が厳しく、線路はカーブも多いため、車両本来の実力を発揮し切れない。こうした足かせのない中国でなら、理屈の上では、E2系もCRH380A並みの高速運転が可能かもしれない。だとすると中国の「独自技術」に新規性は乏しいことになる。

南車が申請した特許の具体的な内容は明らかでなく、川崎重工業、JR東日本共に当面は静観の構えだ。ただ、中国の独自技術かどうか以前に、深刻な問題がある。その予兆は3年前に起きていた。

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