日鉄「USスチール買収」トランプの壁を超える方法 USWとは秘密保持契約を結べたが…
仮にCFIUSの技術スタッフが国家安全保障上の脅威がないと判断したとしても、内閣レベルの組織と大統領は取引を禁止することができ、国民はスタッフの報告書の内容を知ることすらできないだろう。
朗報は、議会にこの取引に反対する勢力がないことだ。民主党の上院議員4人と共和党の上院議員3人、それに下院議員435人のうち両党の53人しか合併を非難していない。さらに、重要な州で再選を目指す民主党のブラウン上院議員(オハイオ州)とボブ・ケーシー上院議員(ペンシルベニア州)は、12月の最初の発言以来、選挙演説でこの問題についてあまり触れていない。
成功のカギは「大統領選前」に合意できるか
従って、合併を確実にする最も有効な方法は、11月の大統領選前に日本製鉄と鉄鋼組合が合意に達することである。公の場では、日本製鉄は時より、自己満足的な発言をしている。
実際、日本製鉄に対してUSWとの取引が政治的に必要なのではないか、と質問したところ、広報担当者は法律的な建前論の枠を出ない答えをメールで送ってきた。
「我々は、CFIUSのプロセスによって、我々の取引が国家安全保障に脅威を与えるものではないと判断されると信じている」。とはいえ、水面下では日本製鉄首脳陣はUSWとの何らかの取引の必要性を十分に認識していたと言われている。NDAの設立はこれを裏付けている。
表面的には、鉄鋼組合はこれまで、日本製鉄が外国の企業であること、そして最初の入札者であるクリーブランド・クリフズという労働組合に非常に友好的な企業による買収を優先したことだけを理由に、日本製鉄に反対しているかのように語ってきた。
しかし、クリーブランド・クリフズによる買収は、新会社が鉄鋼生産、特に自動車工場で使用される鉄鋼生産を独占することになるため、独占禁止法規制当局から承認されることはなかっただろう。
実際、デトロイト3社やトヨタ、フォルクスワーゲンなどの外資系企業を含む連合体である自動車技術革新同盟は、直ちに議会、連邦取引委員会(FTC)、司法省反トラスト局に抗議文を送付した。
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