おしゃれ男子の新鉄則「理髪店でコーヒー」 ニューヨークに新たなブームがやってきた
理髪店とカフェの複合店は、ブルックリン以外にも大きく広がっている。たとえば、カナダのトロントにある「ロッド・ガン・アンド・バーバーズ」の店内にはバーがあり、葉巻を吸うこともできる。また、サンフランシスコの「ピープルズ・バーバー・アンド・ショップ」やフィラデルフィアの「デューク・バーバー」では冷たいビールが飲める。オレゴン州ポートランドに5店舗を展開する「ザ・モダン・マン」では、地元のビールとバーボンを提供する。
短い髪の流行が追い風に
こうした新しいタイプの店ができるずっと前から、理髪店の人気は低迷していた。『髪の百科事典(Encyclopedia of Hair)』によると、1960年代半ばには理髪業は停滞し、何千店もが閉店した。1990年代になると、もう理髪店は終わりだとの論調が、ミック・ハンター著『アメリカの理髪店(The American Barbershop)』やロナルド・S・バーロー著『消えつつあるアメリカの理髪店(The Vanishing American Barbershop)』などの本で見られた。
「理髪店は、第一次世界大戦後や第二次世界大戦後の男たちと結び付くイメージがあった。とても短い、会社員向きの髪型のイメージだ」。
こう話すのは、精神医学が専門のトロント大学教授で、男性の身だしなみについて3冊の著書があるアラン・パターキンだ。「60年代はヒッピーの時代、70年代は口ひげが流行した。そして、70年代と80年代には、男女両方を対象とするヘアサロンが増えた。この頃、男性はもっと複雑な髪型を求めるようになり、理髪店ではそんな髪型はできないと考えられた」。
「最近では、多くの男性が髪を短くしている。おしゃれな人も、あごひげは伸ばしていても髪はとても短い。つまり、短い髪型への回帰が起こっているのだ。この短い髪型は、理髪店が常に得意としてきたものだ」
雑誌「GQ」の編集者で、ブルックリンに住むジョン・ワイルドによると、カフェと理髪の複合店が出現したことにより「髪を切るのが義務ではなく、時間を楽しむことになった」という。「そのような店では『自分へのご褒美』的な気持ちに向かっていく。自分を少しばかりケアしても構わないと思えてくる」。
ワイルドは言う。「たしかに、値段は少し高いかもしれない。でも、飲みたければビールも飲めるし、間違いなくよいサービスを受けられるはずだ」。
(執筆:Rachel Felder記者、翻訳:東方雅美)
© 2015 New York Times News Service
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