企業経営者、マネジャーに贈る「震災後、これから本格化するおカネの危機管理と対処法」(後)--事業資金に困ったとき、あなたがとれる最適の手段

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2 事業再編を考える--売り上げも収入も戻らないと判断されるときは事業再編を考慮すべき

もともと返済に窮していて、資金調達をした資金で返済を賄っていく「借入返済」を行っている企業では、早晩破綻が見えています。その場合はどうすればいいのでしょうか?

自社が複数の店舗を展開する事業であれば、各店舗はそれぞれ1つの会社と考えられます。それぞれの店舗の損益分岐点を事前に把握し、危機に際して5%・10%・15%と売り上げ、収入減をシミュレーションしてください。どの段階でその店舗が損益分岐点を割り、バーンレートが現出してしまうかを把握するのです。

生き残っていける店舗が、赤字・バーンレートが終わらない店舗に引きずられて、全体が破綻してしまわないように、会社分割、事業譲渡、M&Aといった手段で事業再編を行うことを考慮してください。

複数品目の製造を行っていたり、製造と販売を協業していたり、複数の事業領域がある場合は、それぞれを切り分けていけるか、がポイントです。それぞれが独立して事業継続できるのであれば、事前に事業再編をシュミレーションすべきです。これらの手法は、法律的にも手続き的にも複雑で経験則が必要ですので、早い段階で専門家に相談してください。

事業再編のシミュレーションを危機管理の最終判断として、それぞれの段階での資金導入・リスケジュールを含め、判断基準を事前に定めることが冷静な対応につながります。

判断基準があればこそ、柔軟な対応ができるのです。

3 廃業も視野に入れる

すべての経営者が廃業など考えたくはないはずです。けれど、事業再編しようにも、すべての店舗、事業領域で収支が逆転してバーンレートが終わらない、黒字化も難しいとなれば、より早い決断をして廃業を考慮すべきです。

給与の遅配・欠配、取引先への支払い不能・お客様への商品・サービス提供ストップなど、どの現象が現れたら廃業を決意すべきか、事前にポイントを定めておくことです。

嫌なことから目を背けないことも、経営者・マネジャーに必要とされる資質ですから。上手な廃業(つまり、再起できる廃業)についても、専門家のアドバイスが必要です。早めに専門家に相談することを勧めます。

かわはら しんいち
 1955年東京生まれ。立正大学経営学部卒。旅行関係の専門学校を経て、旅行代理店入社。1998年、インターネットを利用した旅行関係の企画販売システムを開発し、ビジネス特許を申請。ITベンチャー起業家へとスタートを切った。当初は事業も順調で、ベンチャーキャピタルからの出資を受け上場をめざすが、資金繰りの悪化から2000年に経営破綻。銀行・ノンバンク・商工ローン・消費者金融などから合計2億円以上の債務を抱えて暗い日々を過ごす。だが、様々な人との出会いや自らの学びによってその債務問題を自力で解決。その経験から2001年より再生コンサルタントとしての活動を開始。成功を夢見て疾走する後輩ベンチャーたちに対して、少し早く失敗を経験した「先輩」の立場から役立ちたいと思ったのがこの仕事のスタートとなった。現在まで数百社の再生相談に対応。個人の多重債務問題から年商100億円規模の企業M&Aまで、様々な手法を駆使して全国で再生実務を行っている。著書に『先輩!お金の相談に乗ってください! 再生の超プロが教えるリスク管理とリカバリーの方法』(小社刊)。

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