ドミノピザ「鼻ほじ」バイトテロ騒動から得る教訓 バイトに倫理観を求めるのが間違っているのか…?

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バイトテロと聞いて思い出すのは、2013年頃の「前回ブーム」だ。コンビニの冷蔵ケースに横たわってみたり、そば屋の食洗機に身体を突っ込んでみたり。ドミノと同じ宅配ピザ業界に限ってみても、「ピザハット」で顔をピザ生地で覆ったアルバイト従業員が問題視され、謝罪している。こちらも閉店後の廃棄食材が使われていた。

これらの事案が起きたのは、約10年前のことだ。当時の経験から、とくに大手企業の危機意識は増したのではなかろうか。昨今のコンプライアンス意識の高まりも考えると、それなりの規模の会社であれば、マニュアルや研修にSNS関連の項目を盛り込んでいるはずだ。

こうした教材が、そもそも未成熟だったり、更新頻度が少なく時代に追いつかなかったりする可能性はある。また、従業員側の忠誠心や責任感の薄れなども、背景としてはありそうだ。

マニュアルを強化しても、防げる事案なのか?

ただ、その前提のもとに浮かぶのが、「マニュアルを定めれば、避けられる問題なのか」という疑問だ。

マニュアルや就業規則は、破れば最悪の場合「解雇」となる重要な決まりごとだ。しかし、正社員ではない者にとって、それが抑止力として機能しているのだろうか。どれだけ炎上事案を知ったところで、先のコラムでも書いていたように、「なぜダメか」が血肉にならなくては意味がない。

ドミノの事案も「鼻に指を突っ込んだからNG」だと思っているようじゃ不合格だ。それはあくまでひとつの要素でしかない。

たとえば、マスクもせず、おしゃべりしながら調理している様子を見たとき、客にはどんな印象を残すのか。そもそも、キッチンに私物のスマートフォンを持ち込むことすら、衛生的にどうなのかという論点もある。

このあたりが性善説で通じないようであれば、残念ながらスマートフォンの持ち込み禁止や、従業員のプライベートSNSの監視なども、検討しなければならなくなるだろう。そうなったときに割を食うのは、まっとうに働いている大多数の従業員だ。一部の「やらかし」によって、罪のない店員まで同一視されてしまう。

それなりに常識がある立場からすると、「マニュアルを定めれば、守ってくれるだろう」とか、「(前回のバイトテロブームは知らないにせよ)外食に携わる者として、客テロの問題点には気づいているだろう」といった考えに至るだろう。しかし、それは甘い。ときに想像をはるかに上回る、稚拙な迷惑行為が起きてしまうものなのだ。

従業員の教育充実と意識向上、場合によってはスマホ持ち込み禁止など、一歩踏み込んだ厳格なルールづくりまで、さまざまな面から、バイトテロ対策を見直すタイミングに来ているのではないか。

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