彼が言うには、友人、同僚、家族など、いずれも親しくなったり日常的に接するようになった相手には、うっすらと腹が立つようになるのだそうです。
一般的には、相手との距離が、近くなるほど仲よくなる、と想像します。
しかし彼は、「距離のあるうちは、みんないい人に見えるけれど、距離が近くなると、いろいろとズルいところや勝手なところが目について、モヤモヤと腹が立つ」というのです。それも例外なく……。
生活を送るうえでは、同僚や家族など、どうしても距離が近くなる人たちがいます。
ですから、彼は人間関係とはある程度、常に腹立たしさをうっすらと含んだものと考えているそうです。
そんな彼にとって推し活は、距離を保っているからこそ、純粋に楽しめるものであり、「必要以上に親しくなろうとは思わない」とのことでした。
私は、「なんと大人な態度だろう」と思いました。
感謝しながら、何度も「卒業」すればいい
このように期待値をコントロールすること、人間関係の距離感を自分で適切に調整することは、心穏やかに人生を充実させていくうえで重要なのです。
冷たく聞こえるかもしれませんが、人間関係とは「一度築けば永遠に続くもの」ではありません。
どのような人間関係も、時間とともに変化していきます。
時には適切な距離感を維持することが難しくなることもあるでしょう。
そうした場合、卒業する時期が来ているのかもしれません。
互いに高め合う関係でもないのに、いつまでも、その関係にとらわれるなんて、留年するのと同じです。
私たちはいやでも前に向かって進んでいかなければいけません。
それはアイドルとファンの関係についても言えることです。
アイドル自身が「アイドルを卒業すること」もあるし、アイドルの路線変更やスキャンダルのために、ファンが「ファンを卒業すること」もあるでしょう。