【産業天気図・海運業】燃油高と市況軟化がコンテナ船を直撃。「晴れ」でも弱含み

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海運は鉄鉱石等のバラ積み船、原油タンカー等のエネルギー船、製品・部品等を運ぶコンテナ船の各部門とも、世界景気のまずまずの状況を受け、今年に入っても荷動きは堅調が続いている。ただ、運賃市況の面ではコンテナ船分野で欧州航路の軟調ぶりが目立つ。さらに燃油高についても、バラ積み船やエネルギー船は中長期契約の中で荷主に転嫁できるケースが多いが、スポット契約のコンテナ船については荷主転嫁が十分できず、採算が低下傾向にある。船種別予想を開示している日本郵船<9101.東証>と商船三井<9104.東証>を見ても、2005年度はバラ積み船やエネルギー船が前期予想比でも中間期予想比でも利益上乗せ基調なのに対し、コンテナ船は主たる減益・減額要因となっている。
 今後、06年度の方向性を見ても、燃油高とコンテナ船市況の軟調は継続する可能性が高い。バラ積み船・エネルギー船を中心とした相次ぐ新造船投入効果や、コンテナ船部門等でのコスト削減強化などは採算改善要因になりうるものの、コンテナ船の対連結売上高比率が3~5割を占める日本郵船、商船三井、川崎汽船<9107.東証>の海運大手3社では、06年度はせいぜい小幅増益どまりになりそうだ。
 もっとも中期的に見れば、海運業界の利益水準は、過去最高水準に達した04年度以降、横ばいの高原状態にあり、天気図判断としては依然「晴れ」続き。ただ、燃油高状況や海運市況次第では「曇り」もありうる、やや弱含みの状況といえよう。
【大滝俊一記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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