ChatGPTを「業務効率化」にしか使わない人の盲点 新しいフロンティアを切り開くこともできる

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また、統一的なデータベースの構築は、生成AIの効果的な活用に不可欠な前提だ。データのサイロ化は、情報の断片化を招き、AIの学習効率と精度を低下させる。

全社的なデータベースを構築することによって、この状態を克服し、データを一元管理し、生成AIの学習に必要となる豊富で多様なデータを提供できるシステムを構築する必要がある。これによって、AIのパフォーマンスが向上し、より正確で信頼性の高い生成結果を得ることができる。これは、とくにバックオフィスの業務について言えることだ。

導入と活用に関する「重要な条件」

生成AIの導入と活用に関してもう1つの重要な条件は、技術の専門家だけでなく、組織の構成員全員が、これを直接に利用することだ。

これまでの情報システムは、専門家が構築し、利用するものだった。一般の従業員やマネジャー、あるいは経営者は、専門家を通じて、情報システムを利用してきた。

しかし、生成AIは、日常言語によって利用できる仕組みだ。したがって、組織構成員の誰もが、専門家を介さずに、直接的に利用できる。

とりわけ重要なのは、シニアマネジャーや経営者がこの技術を理解し、積極的に利用することだ。こうした人たちがAI技術の基本原理と、そのビジネスへの応用可能性を把握することは、組織全体のAIに対する理解を深め、技術の効果的な活用を促進するうえで、重要な条件となる。とくに、経営層の理解と積極的な利用は、生成AIの成功へのカギである。

生成AIを戦略的に活用することによって、企業は未来のビジネス環境において競争力を維持し、成長を加速させることができるだろう。

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野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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