ドラマ「不適切にも~」昭和世代の部長が沼る理由 平成世代の「働き方」と「働きがい」の狭間で

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ここで特筆すべきは、小川純子を演じる河合優実(かわい・ゆうみ)だ。抜群の存在感を示している。昨年のNHK BS『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』で、主人公のくたびれた関西の女の子を好演した勢いが止まらない印象を受ける。

3つ目として、宮藤官九郎ドラマ特有の「昭和世代直撃小ネタ」も絶好調。いちいち面白い――のだが、ここから述べるように宮藤は、「小ネタ満載のドタバタ喜劇作家」としての世評を確立した「第1章」から、もう次のステップに進み始めているではないか。

「弱者の物語」を描く宮藤官九郎

昨年は「シン・宮藤官九郎」元年だったと思う。「弱者の物語」を描く脚本家としての「第2章」へ。

昨年、放送(配信)された注目すべき2つの宮藤官九郎作品。1つは昨年1月3日にNHK総合で放送された『いちげき』。幕末期、乱暴狼藉を働く薩摩藩士らに対抗するため、農民を集めて結成された「一撃必殺隊」の活躍を描く物語(以下、NHK公式サイトの説明より)。

――舞台は大政奉還直後の江戸。徳川滅亡を図り江戸城下でろうぜきの限りを尽くす薩摩藩士に対し、大規模な戦争を避けたい勝海舟は会津藩の武士でも庄内藩の武士でもなく「村の力自慢」や「大男」、「村一番の速足」や「機転の利く小男」などバラエティーに富んだ百姓たちを寄せ集め、私設部隊を秘密裏に立ち上げる。

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