「40歳超えた人の記憶力は伸びない」が誤解な訳 受験生も社会人も結果を出せない人の記憶術は的外れ

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「記憶力が悪い人」「成績が悪い人」に限って、「記憶」の前の「理解」と「整理」のプロセスを軽視します。しかし、「理解」と「整理」、この2つの事前準備が、実は「記憶」以上に重要なのです。

人間の脳というのは、「理解」することによって、物事が忘れづらくなります。他の人に説明できる程度に理解しておけば、長く記憶にとどめておくことができるでしょう。

また、「整理」され、何か他の物事に関連づけられると、記憶に残りやすくなります。似たような情報・知識を分類・整理する。記憶は「関連」を好みますので、「図」や「表」にまとめるだけでも、記憶が猛烈に促進されます。

学校の成績が良い子というのは、「記憶力」が良さそうに見えるのですが、実は記憶力以上に「理解力」や「整理・まとめ」の能力が高いのです。試験の成績は「記憶する」の前段階で、既に勝負を決しているともいえます。

ですから、仮に「記憶力」が悪くても、「理解力」や「整理・まとめ」の能力で十分に補完することができます。

「記憶」そのものに時間を使うよりも、事前準備としての「理解」と「整理」にしっかりと時間を使うことで、記憶力が悪い人でも無理なく記憶することができるのです。

記憶力に頼らない

「自分は生まれつき記憶力が悪いから、成績が悪いのはしようがない」

こんなくだらない言い訳を自分にするのはもうやめましょう。この思い込みは二重に間違っています。

まず、記憶力は生まれつきのものではなく、20歳からでも、40歳からでも伸ばすことができます。

さらに、学校の成績、つまり試験に必要な能力は、「記憶力」だけではありません。「頭が良い」とされる学生を詳しく調べると、ほぼ例外なく彼らは集中力が高く、要点をまとめ整理する能力も高く、頭の回転が速いのです。これらは「記憶力」、すなわち「長期記憶」とは直接関係のない能力です。

つまり、「注意・集中力」と「まとめ・整理する能力」を高め、頭の回転を速くすることで、「記憶力」の悪さを十分にカバーすることは可能なのです。

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