要領が悪い人は正しい「手抜き」の仕方を知らない 業務過多とストレスによって潰れないための方法

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そしてもうひとつは、自分の得意な仕事に一生懸命取り組み、苦手な仕事は放っておくことです。すると、苦手な仕事は回ってこなくなって、得意な仕事ばかり回ってくるので「できる人」という評価を得られるというのです。

すべてに100%の力を注いでいると潰れる

このような話を聞くと「それはズルい」と言う人が必ず現れるでしょう。ところが、そんな要領の悪い人たちはといえば、大して出世しそうもない上司のもとで、その人が手放した仕事の残務処理に一生懸命になったり、苦手な仕事と毎晩遅くまで格闘したりした挙げ句、体を壊してしまったりするわけです。

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「2人の上司から頼まれた仕事を、片方だけ真面目にやって、もう一方は手を抜くなど許されないことだ」と思うようなタイプの人は、どうか考え直してみてください。

そもそも複数の上司が、部下の状況を把握した上でできるだけの仕事を振っているというわけでもないでしょう。与えられたことはきちんとやらなければならないという姿勢は一見美徳に思えますが、そもそもそれがオーバーワークだとわかるのも自分だけです。

会社にしても役所にしても、組織は全員で仕事を回してゆくところです。だから、得意なところ、おいしいところから自分の仕事にしてゆけばいいものなのです。

仕事にしても何にしても、すべてに100%の力を注いでいては潰れてしまいます。自分を苦しめることもなく、効率よくいい結果を出すことができるのは、うまい具合に手を抜けるゆるい人なのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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