都会のローカル線「南武線の支線」に新駅の狙い 小田栄駅、設置費用は川崎市とJR東日本が折半

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一方、東海道貨物線の貨客併用化は、羽田空港アクセス線(仮称)も走ることになる浜松町―東京貨物ターミナル―浜川崎間、および鶴見駅から東高島貨物駅を経由して桜木町駅に至る東海道貨物線に、旅客列車を走らせるものだ。

浜川崎貨物駅へ向かう貨物列車
浜川崎貨物駅へ向かう貨物列車(筆者撮影)

こちらは線路は存在しており、武蔵野線や山手貨物線のような先例もあるので、川崎アプローチ線に比べれば実現はしやすそうだ。

川崎市が2つのプロジェクトの推進を望むのは、小田栄駅だけが理由ではない。昨年9月、浜川崎駅の海側に広がるJFEスチールの高炉が休止し、100年以上にわたる鉄の生産が終わったことで、南渡田周辺地区の整備計画が本格的に動き出すからだ。

川崎市ではこの地域を研究開発拠点などにしていきたいとしており、貨物駅の在り方もJR貨物とともに考えていくという。

小田栄駅周辺以外も大変貌?

生産拠点から研究開発拠点に変わるとなると、浜川崎駅の人の流れが大きく変わるのは確実だ。そして川崎アプローチ線や東海道貨物線の貨客併用化が実現すれば、浜川崎支線沿線は川崎駅だけでなく東京都心にも直行できる可能性が出てくるわけで、小田栄駅周辺以外でも再開発が進むかもしれない。

2両編成の電車が40分間隔で走るという大都市離れした光景は、この先大きく変貌する可能性を秘めている。小田栄駅はそのための第一歩なのである。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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