大阪で「1日1億円超チョコが売れる」催事の正体 阪急うめだ本店「毎日でも来たくなる」仕掛け
売り上げも日本最大級だ。2023年に26日間で29億円、2024年は30億円以上を目指す。1日1.1億円以上のチョコレートが売れることになる。同じく大規模なイベント、ジェイアール名古屋タカシマヤ「アムール・デュ・ショコラ」は、2023年度の売り上げが34億円以上(岡崎サテライト会場含む)で、ブランド数は約150で商品の種類数は約2500。阪急は、出店ブランド数が名古屋の2倍と上回り、売り場が広い。
出店ブランドにも愛されている。「阪急のバレンタインが日本一おもしろい」「チョコレートや出店ブランドへの深い愛情がある」「阪急には必ず出たい」と、忖度なしに語ってくれたブランドが数知れず。
バイヤーは16年のベテラン
同時に、担当バイヤーへの信頼を語る人がほとんどだった。どんな人なのか。イベントを統括するバイヤーに話を聞き、ここまで支持される理由をまとめてみる。
「売り上げをとるのが主な目的ならうちでなく、別の場に出店してくださった方がいいと思います」。きっぱり言い切るのは、バレンタインチョコレート博覧会のバイヤー歴16年、阪急阪神百貨店 フードマーケティング部の髙見さゆりさんだ。
ならば、何に重きをおくのか。「ブランドに、思いや伝えたいことがあるかどうかです。チョコレートブランドは、カカオや素材の生産者の思いを背負っている。その思いを伝える場を提供するのが、私たち百貨店の役割です。良い商品を別の理由だけで埋もれさせたくない。売り上げだけで決めるのはナンセンス、と私は思っています」。
髙見さんは、2008年にこのイベントのバイヤーになり、仕事を一通り覚えた頃から、今後のあり方を真剣に考えはじめた。
「初上陸、新作、とメディアが取り上げ、その年に売れても、翌年は別の新しいものに入れ替わる。着せ替え人形みたいに思えてきて。日本初上陸、関西初上陸、を毎年探すのが自分は本当に楽しいのかな、と」
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