GDPでドイツに抜かれても「日本の株高」続くなぜ 購買力ベースでは1970年代並みになった

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冒頭に述べたGDPでの日独逆転は、このような経済パフォーマンスの差がもたらした当然の結果だと考えることができる。その意味で、日独逆転は、「驚くべきニュース」とは言えない。「いつかは起こることが起こった」というだけのことにすぎない。

円安の影響が大きい

ただし、次の2点に注意が必要だ。

第1は、上図に見られるように、ドル表示の日本の1人あたりGDPが最近の数年間で急激に減少したことだ。これは、2022年からの急激な円安の影響だ。いつかは起こることを、円安が加速したのだ。

第2は、株価が上昇を続けていることだ。

常識的に考えれば、経済が成長するからこそ、株価が上昇するはずだ。経済が成長しないのに株価だけが上昇するのは、いかにも不自然なことに思われる。なぜこのようなことが起きるのかを、以下で考えることとしよう。

まず、前項で述べたことをより詳しく見るために、為替レートの変化を見てみたい。

2022年から生じた円安は、下図に見るように、歴史的にもまれなほど急激な変動であった。1990年代末、2013年から2015年頃に進行した円安に匹敵する。これら2回は、それまで円高が進んでいたのを取り戻すという意味が強かったが、今回はそうでない。

なお、1990年代前半には、かなり急激な円高が生じた。ドル円レートは、1990年には1ドル150円程度だったが、1995年には100円程度になった(一時は80円台にまで円高になった)。

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