「宝石のような歌声」野田愛実の知られざる半生 小学5年の頃から"オーディション"に挑戦し…

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学生生活を謳歌する一方、コンテストでは結果を残すもオーディションでは最終審査でなぜか落とされることが多く、野田は「自分には一体何が足りないのか」を考えていた。

同年代では抜きんでた歌唱力。そして作曲活動も続け、シンガーソングライターとして着実に進み始めていたが、大学進学を決意し、受験勉強を始める。

実はこの頃、東京の音楽事務所に所属しており、上京して音楽活動に専念するという選択肢もあったが、迷わず音楽事務所も辞め、受験勉強に集中した。

「勉強はずっとしていて、大学には普通に行きたかったですね。けど、音大とかに入る気はなくて。理系に進んでいたこともあって『建築が一番面白そうかな、クリエイティブに通じることがあるのかな』と思って決めました」

進学校にいたこともあり周囲も大学進学は当然の流れの中で、野田が選んだのは明治大学理工学部建築学科だった。

音楽だけでなく大学でもしっかり学びたかったという(撮影:今井康一)

「建築学修士課程修了」という異色の経歴

こうして野田は大学生となり上京。東京で学生生活を始める。また、シンガーソングライターとして活動も続けていたが、勉強もさらに深まり、なんと修士課程へと進むことになる。

大学4年の時にはインディーズでデビューしていたのですが、『この先このままで大丈夫なのかな』という不安もあって。両親からも大学院を勧められ、そのまま大学院へ行きました」

音楽活動と並行して2年間大学院で研究活動を行い、建築に関しての見識を深めてきた。修士論文のテーマはコンサートセットに関するもの。見事、明治大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程を修了した。

「この先、もっと大きな舞台でできるようになって、舞台を組める時には、何かアイデアを出せたら良いなと思ってます」

控えめながらも、その目には確信と自信に満ちたものを感じた。

大学院を修了したあとは、建築事務所でアルバイトをしながら音楽活動をさらに本格化。そして数少ないチャンスをつかみ、2023年メジャーデビューを果たしたわけだ。

だが、その裏では音楽活動に関する漠然とした不安を抱え、その不安を学業に打ち込むことで打ち消そうとしてきたという葛藤が垣間見えた。

「もう小さい頃から自分が歌手になるってことを疑ったことがなくて、それ以外のことを考えてこなかったです」

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