トヨタが人事評価で「人望」を重視するワケ 今こそ見直したい、30代からの必須スキル

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あるトレーナーは、フォローが不十分で上司から叱られた経験があります。後工程から品質のクレームがあり、トレーナーは部下に対策を指示しました。その後の会議でその対応を問われた時「指示はしています。たぶん現場でやっています」と上司に報告したところ、「『たぶん』じゃない。今から現場に行こう」と上司。

上司とともに出向いたところ、なんと、部下は指示とは異なる作業を行っていました。「やってないじゃないか!」上司に怒られたのは、部下ではなく部下へのフォローを徹底していなかったトレーナーでした。みなさんは、部下に教えた・伝えただけで満足してはいないでしょうか。

社内ネットワークがあなたを助ける

さて、ここからは上司や部下といったポジションに関係なく、個人でできる取組みについてご紹介します。

ひとつは、社内でネットワークを作ること。これは、ほぼ全てのトレーナーが、非常に有効で、多くの面で仕事を助けてくれたと主張するポイントです。

トヨタでは、職制別・入社形態別の会などさまざまな会合があり、研修やレクリエーションなどでも幅広い人たち触れ合う機会があります。この場では、自分の職場以外の考え方を理解することで自らの知見が広がり、正式には複雑な手続きやかっちりした会議が必要な仕事も、人間関係をベースにスピーディーに進めることができるようになります。

もしみなさんの会社にこのような場があれば、面倒がらずに是非参加してみてください。必ず、みなさんの武器となるはずです。しかし、メリットは理解できても、そもそもこうした場自体が存在しないかもしれません。さらには、部署間に限らず、自分が所属する部署内でもネットワークが弱いと感じている方もいるかもしれません。

ここで、あるトレーナーがトヨタ時代に、新しい部署に管理職として赴任した際の取組みをご紹介します。そこは、一匹狼的なタイプの従業員が多く、チームワークの風土がない職場でした。そこで彼がやったのは、ほうきとちりとりを持って現場を歩くこと。3カ月の間、毎日、従業員たちと1対1の会話をし、個々人の考え方を理解していきました。ネットワーク作りには、夜の懇親会が必須というわけではなく、一気に問題が解決するわけでもありません。

重要なのは、地道に時間をかけて、じっくりと1人1人と向き合うこと。毎週1人、新しい人とランチに行くことでもいい。身近にできる範囲から取り組んでみてはどうでしょうか。

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