群馬テレビだけじゃない!「ローカル局」の窮状 売上高は軒並み縮小、"存在意義"すら問われる

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縮小

あるローカル局の幹部は今回の群馬テレビの騒動について、「外注削減や人事異動の増加は他のローカル局でも同じ傾向。決してひとごとではない」と漏らす。

日本民間放送連盟(民放連)が発表している地上波テレビ局の決算情報によれば、テレビ局全体の売上高はジリジリと縮小傾向にある。ひときわ厳しい状況に立たされているのが、キー局のネットワークに属する系列ローカルテレビ局と、それらのネットワークに属さない独立放送局だ。

地上波テレビ局の売上高推移

テレビ広告費の縮小が進む中、アニメや配信など、放送外収入の拡大に舵を切るキー局・準キー局に対し、ローカル局は新規事業の創出に苦戦していることが一因だ。中にはサーモンや車エビ、ヒラメの養殖事業など、テレビとは関連の薄い事業に手を伸ばす例も出始めている。

ローカル局が直面する深刻な人材流出

人材確保の問題も深刻だ。武井氏の後任として、群馬テレビの新社長に就任した中川伸一郎氏は「放送外で収入を上げていくために優秀な人材が必要だが、むしろ流出してしまっている。業界全体を通じて若い人材の流入が減少し、人材の高齢化が迫ってきている」と話す。

業界関係者によれば、群馬テレビのように、コスト削減策の一環として新卒の定期採用をやめ、人が足りなくなった部署でその都度募集をかけるという、「場当たり的な人事」をしているローカル局は珍しくないようだ。

「ほとんどのテレビ局員はバラエティ番組の制作をしたくて入社してくる。ただ、入社して2~3年が経つと新規事業に異動させられるケースも少なくない」(前出のローカル局幹部)

会社にとって新規事業の創出は死活問題だが、そうした経営の方向性と社員の意識に乖離が生まれれば、優秀な人材の流出にもつながりかねない。

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