冬でもアツい「北関東」エリアの鉄道最新事情 昨年は東武や宇都宮LRTが人気、今年は上毛電鉄

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ライトラインの平日7時台は、下り芳賀・高根沢工業団地方面行きの列車の混雑ぶりが著しく、早々に、10月23日から平日ダイヤのみ、ダイヤ改正を実施したうえ、イベントなどの開催で混雑が予想される日においては、臨時列車を増発するほどの人気ぶりだ。

11月29日に発表した公式発表によると、開業3カ月の1カ月間(10月26日〜11月25日)でも、利用者が約39万人。これは、当初の予想を1.3倍も上回っている。今後も沿線開発の影響もあり、利用者はさらに増えると見込まれる。

そのことに対してこれからも、いろいろな施策が盛り込まれていくことであろう。宇都宮ライトレールの担当者によると、「今後のダイヤ改正に合わせて、快速運転の実施も検討している」という。

再び、東武鉄道に話を戻そう。東武鉄道の野田線(アーバンパークライン)大宮―柏―船橋間が鉄道ファンを中心に注目されている。同路線には、昨年車歴60周年を迎えた8000系という車両が多数運行されている。

南栗橋車両管区・七光台支所に、動態保存車として長らく休んでいた8000系8111編成が復活し、11月1日から野田線(アーバンパークライン)での営業運行が開始された。

8111編成は、他の8000系車両とは異なり、旧前面(60年前登場当時のスタイル)のままで、塗装も旧塗装であるロイヤルベージュとインターナショナルオレンジをまとっており、ほかの編成の中でもひときわ目立つ存在となっている。

東武鉄道8111編成(筆者撮影)

この8111編成は、よくありがちな臨時列車などのイベント用として特別な運用をしているわけではなく、ほかの編成とともに、一般運用されている。しかも、所有者は東武博物館なので、東武博物館が東武鉄道に貸し出すという扱いであるのも非常に興味深い。

沿線では、連日同列車を撮影しようと多くの鉄道ファンが、沿線でカメラを構えているのを見かける。筆者が8111編成を撮影した際に、近くに居た鉄道ファンに聞いた話では、「2023年の東武鉄道は大きな話題が多く、かなり攻めていた」そうだ。筆者も同感だ。

このように、昨年の夏以降は、北関東周辺の鉄道事情が大きく変化した、非常にアツい年だったといえるだろう。

2024年は上毛電鉄に注目

さて、今年の北関東はどうなるのだろうか。気になるのが、上毛電気鉄道である。同線は、西桐生と中央前橋を結ぶローカル私鉄路線である。

上毛電気鉄道の公式発表によると、東京メトロ日比谷線で運行されていた03系車両を導入し、改造したのち800形として、2月下旬の営業開始を目指しているそうだ。

東京メトロ日比谷線の03系(筆者撮影)

従来使用していた700形(元京王3000系車両)の一部置き換えを行う目的ということで、段階的に導入していくようだ。

2024年も北関東の鉄道の話題に熱い視線を送りたい。

渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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