港区女子の投稿で波紋「高級すし店」どんな場所か 身だしなみや注文の仕方など気を付けたい点

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すしは箸で食べても、手で食べてもいい。醤油をつける際にはネタにつけるが、高級すし店では、すでに醤油が塗られているなど、味が付いていることがほとんどだ。そのため、カウンターに醤油差しは置かれていない。

すしは温度が大切なので、握られたらできるだけすぐに食べたほうがよく、一口で食べるのがスマートだ。手で食べて汚れた場合には、最初に提供されるハンドタオル(おしぼり)で拭けばよいが、最近では、握りに入ってからガーゼのような指拭きが提供されるので、これで汚れを拭う。

ドリンクは何もオーダーせずに、お茶だけを飲む客もいるが、できれば何かを合わせてみるのがお勧めだ。お酒のチョイスは堅苦しく考えなくていい。日本酒が最適だが、ビールや焼酎、レモンサワーもよく飲まれる。

ワインの品揃えも豊富になってきているので、シャンパーニュでも、白でも赤でも、好きなものをスタッフに相談すればいい。高級すし店であれば、ソムリエやきき酒師がいることが多く、そうでなくともお酒に詳しいスタッフがいるはずだ。

撮影は店によってポリシーが異なる

写真や動画の撮影は、店によってポリシーがまったく異なるので、最初に聞いたほうがいい。撮影されたくないというお店から、お酒のボトルだけならいい、自分の料理だけなら可、さらには、どんどん撮影して投稿してもらいたいなど、実に幅広い。

アレルギーや苦手なもの、宗教や信条的に食べられないものがあれば、事前に伝えておく必要がある。予約時に連絡しておくのがベストだが、遅くても食事の始まり時には伝えておかなければならない。提供されるときに言われても、すでに用意しているので代替ができずに、すし店は対応に苦慮する。最近では、食べられないものが1品であれば代替品に差し替えてくれるが、2品以上となれば対応できず、来店を拒否する店も多くなっている。

農林水産省によれば、2023年の海外における日本食レストランは、2021年の約15.9万店から約2割増の約18.7万店に増加。2006年の約2.4万店と比べれば、17年で約8倍に伸張している。

日本食レストランには、当然のことながらすし店も多く含まれている。海外ではおまかせコースが13万円であったり、すし職人の年収が最低1000万円であったりと、すし店の高級化は加速している。高級すし店を訪れる際は、客側もマナーを守りながら、大将が握るすしを美味しく味わえるとよいだろう。

東龍 グルメジャーナリスト

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とうりゅう / Toryu

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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