トヨタ「プリウス」発売1年、求めた姿との乖離 運転したときの強烈な違和感に是非を問いたい

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車名のプリウスの意味が「~に先駆けて」であることは、すでに述べた。初代が誕生した1997年はまさにその意味の通り、世界が驚愕する新しい価値のクルマとして登場した。しかも、高額で特殊な車種ではなく、多くの消費者が購入できる5ナンバーの小型4ドアセダンとして現れ、車両価格は215万円と、安くはないが買えない値段ではなかった。

この価格設定は、「21世紀にゴー(5)」という、語呂合わせだとの噂ものぼった。宣伝のキャッチコピーは「21世紀に間に合いました」であり、20世紀の最後を飾り、次の世紀へ夢を託すHVの誕生であった。

ハイブリッドシステム進化の歴史

初代プリウスのハイブリッドシステム。従来のガソリンエンジン車に比べて2倍となる、28km/L(10.15モード)という燃費を実現
初代プリウスのハイブリッドシステム。従来のガソリンエンジン車に比べて2倍となる、28km/L(10.15モード)という燃費を実現(写真:トヨタ自動車)

一方、ガソリンエンジンとモーターを併用する駆動方式であることから、加速や減速での原動機の切り替えや併用などで、段付きのあるような不自然さが残り、出力そのものにも物足りなさを覚える面があって、従来からのガソリンエンジン車と比較すれば難点が指摘されることもあった。

2023年9月1日に登場した2代目プリウス
2003年9月1日に登場した2代目プリウス(写真:トヨタ自動車)

そこで2代目は、ハイブリッド・シナジー・ドライブと称し、HVでも快適に運転できる性能の追求が行われた。海外での販売強化も視野に、3ナンバー車へと車体寸法がやや拡大された。加えて、性能が上がり高速走行が増えれば空気抵抗の影響が強まるため、外観の造形は車体後半へ流れるようなクーペのようになった。その姿が現在まで継承されている。

2009年5月18日に登場した3代目プリウス
2009年5月18日に登場した3代目プリウス(写真:トヨタ自動車)

3代目では、より手軽に購入できる販売戦略により、燃費のよい車種の購入に対する補助金制度も視野に、価格的価値を高め、一気にHV人気を押し上げ、存在を普遍化し、街にプリウスが溢れた。同時にまた、PHVというHVの可能性を拡張する車種を追加したのもこの3代目である。

先駆けとしての価値の創造は、この3代目で一つの区切りがついたといえる。

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