トヨタ「プリウス」発売1年、求めた姿との乖離 運転したときの強烈な違和感に是非を問いたい
前型の4代目は、斬新な外観の造形により当初は好みがわかれた。そこで2018年のマイナーチェンジを機に、外観がより普遍的な造形となり、2019年は1月から好調な販売となった。
振り返ると、同年2月には1位の日産「ノート」に次いで2位となり、その際の販売台数は1万1867台である。翌3月には1万5000台を超え、4~7月まで1位となって、いずれも1万台を超える販売台数であった。その好調さは衰えず、1~12月の年間販売で1位となり、その販売台数は12万5587台を数え、月平均すれば1万台超であったことになる。
プリウスが販売1位になれない理由
前型当初の造形に対する好みの差の影響をかえりみ、新型プリウスは「一目ぼれするデザイン」を目指した。開発当初は、あたかもタクシーのような普遍的HVにしてもいいのではないかと豊田章男社長(当時)の言葉があったようだが、開発陣は、愛車を目指したと語る。そしてスポーツカーやスペシャリティカーかと思わせる印象深い外観がなによりの特徴となった。
それでも販売台数が1万台に届きにくい背景には、2019年当時と比べ、半導体を含め部品調達の課題が世界中の自動車メーカーを苦しめたことが挙げられる。また、コロナ禍での納車遅れの挽回といった特別な事情もあるだろう。昨年1年の販売累計で9万9000台規模にとどまり、月平均すれば8200台強と1万台には届かず、1万台超えがほぼ常態化しているヤリスやカローラに比べると、購入を躊躇させるなにかが背景にあるかもしれない。
新車価格は、2015年の前型当初の売り出しが約242万円からであったのに対し、新型は275万円からと30万円以上高くなっている(FF車比較)。もっとも高額な車種では、前型が約339万円であったのに比べ、新型は392万円(E-Four比較)となり50万円以上高い。ただし、こちらはエンジンが前型の1.8リッターから2.0リッターへ変更されたぶんを含む。
それでも、値上がりぶんだけの販売動向ではないような気が私はしている。
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