今から日本株を買いたい人に勧める3つの投資法 この長期上昇相場はあと2年続くかもしれない

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こんなときに兜町でよく使われるフレーズが、阿波おどりの「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」だ。しかし、阿呆にはなりたくない投資家はどうしたらよいだろうか。

1つは、日本株の特徴とされる「3月安」をじっと待つこと。2つ目は、昨年7月3日の日経平均の高値3万3753円までの急騰局面でも9回あった、「2日連続安の押し目」を狙う。3つ目は、移動平均線からの乖離率が低下してきたら買うという方法だ。

移動平均乖離率は、株価が大きく下げなくても、株価の下に位置する移動平均線そのものが追いついてくることによって下がる。例えば25日移動平均線で言えば、6連騰した1月15日には、日経平均は+7.18%の大乖離だったが、18日には+4.88%の中乖離になった(19日現在は+5.95%)。

この移動平均乖離率の低下局面で買う方法は、意外に多くの投資家が利用している。目安としては大(7%)、中(5%)、小(3%)がある。ただし、「押し目待ちに押し目なし」の相場格言があることも忘れずにいたい。

1988年のNYダウ「ビヨンド2000」の記憶が蘇る

一方、1月19日現在の日米のPBR(株価純資産倍率)を見ると、日本の東証プライム銘柄の平均は約1.34倍、アメリカの3595社の平均は同3.11倍となっている。東証が指摘するまでもなく、アメリカに対する日本の資本効率の悪さが目立つ。

しかし、実はそのアメリカでもPBR1倍を割れていた時期があったのだ。有名な「株式の死」と言われた時期である。このときは上場企業の半分以上が1倍を割れていた。NY(ニューヨーク)ダウで言えば、筆者が証券業界に入った1970年頃の話だ。

NYダウは1972年に史上初めて1000ドルを超えたが、その後は翌1973年の1052ドルまでしか上がらず、1974年には再び1000ドルを割れた。そこから一時はなんと半値近くまで下げ、再び1000ドルを回復するのは1982年だったのである。この10年間はアメリカにとって、まさに株式の死だった。

その後は順調に上昇したが、NYダウが2000ドルを超すのは1988年まで待たなければならなかった。したがって、2000ドルを超えたときにはウォール街はお祭り騒ぎとなった。「ビヨンド2000」のレポートでこの相場を当てたアメリカのトレーダーは、日本テクニカルアナリスト協会の招聘で日本講演を行い、スター扱いとなったものだ。まさに米国株の大進撃が始まった瞬間でもあり、そのときの光景は今でもはっきり覚えている。

ここでお気づきと思うが、このころ日本はバブルの絶頂期で、日経平均はまさに4万円に向かっていた。そのときNYダウは2000ドルで喜んでいたことになる。

もちろん、構成銘柄がほとんど入れ替わっているので継続性に問題はあるが、NYダウは今や3万7863ドル(1月19日)と、約19倍になっている。もっとも、日経平均も1974年の有名なオイルショック後の安値「3355」(円)から見ると、3万6000円は約10.7倍となる。

当たり前だが、投資成果の良し悪しは相場次第だ。相場が悪ければ名人でもなかなか儲からない。だが、相場がよければ素人でも儲かる。筆者には日経平均33年ぶりの高値が、重要な節目だったNYダウの「ビヨンド2000」に重なって見えて仕方がないのだ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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