ウェンディーズ「外国人向けLセット」成功の理由 人気の「マッシュルームバーガー」を進化させた
大ヒットではないが、まずまずの成功と捉えているようだ。まずインバウンドにターゲットを絞り、思い切った高価格帯商品としたこと、海外でも日本でも評価の高い、マッシュルームメルトバーガーを下敷きに開発したことが成功要因だったのではないだろうか。
日常のランチや軽食に「グッドプライスセット」
上記、インバウンド向け商品が好調な同社ではこれに加え、日常のランチや軽食に利用できる「グッドプライスセット」を強化した二極化戦略を展開していくという。
2021年12月から全国販売されているグッドプライスセットは、ジュニアサイズのバーガーにポテト、ドリンクを組み合わせたセットで、560円からという手頃な価格が特徴だ。
「500円台だからといって安っぽく見えないよう、商品開発には苦労している」と戸田氏。ウェンディーズ・ファーストキッチンは63店舗と、3000店舗に迫るマクドナルドや1300店舗のモスバーガーに比べれば中規模のチェーン。「規模の経済」によりコストダウンするのが難しい。
オペレーションの工夫等でコストダウンを図るが、物価の高騰による原価率の上昇になかなか追いつけないのが現状だそうだ。
ただし、ウェンディーズグループとしてグローバルに考えれば有利な面もある。メイン素材であるビーフや、ポテト、チキンついては、グループで仕入れてコストダウンを図っているそうだ。
「インバウンドが復活したとは言っても、2019年までとは市場が異なる。コロナを機に需要の中心が郊外に移った。当社は都心の好立地の出店が多く、観光が復活した今は好調だが、今後は郊外にも広げていく必要がある」(紫関氏)
グッドプライスセットは、郊外店舗における戦略の担い手となる。ただし、高価格帯バーガー→インバウンド、グッドプライスセット→日本人という図式はわかりやすいが、そういうわけではない。トリュフバーガーも後に店舗を広げたり、単品やシングルタイプを発売している。まずは特徴のはっきりした商品を出し、評価を見極めたところでより求めやすい形にして、展開を広げたわけだ。
「ライバルはグルメバーガー。都会にはグルメバーガーの個人店はたくさんあるが、地方都市には少ない。チェーンのブランドとして、どのようにバリューを感じてもらえるかがポイントだ」(紫関氏)
「普段使いのお客様にグッドプライスセットで興味喚起し、今回のトリュフバーガーのような高価格帯バーガーで『次回も来てみたい』と思っていただく、店内循環を起こしていければと思っている」(戸田氏)
FC店を含めた郊外店舗拡大には、2022年9月にオープンしたトレーラー型店舗も布石となった。
「今は都心のビジネス立地や観光立地の調子がよく、トレーラー型を出した当時とは市場が変わってきている。そしてFCのオーナーはコロナ禍の影響からまだ抜け切れておらず、再投資まで時間がかかるだろう。しかしトレーラー型は今後も伸びる可能性がある。実店舗があるのでイメージしやすく、FCオーナーからの引き合いもすでにある」(紫関氏)
短期的な目標は、大阪・関西万博開催が予定されている2025年だ。その年の飛躍的な成長に向けて、商品、店舗展開ともに力を入れていきたいという。
高価格帯のセットは今後も期間限定商品として発売を予定している。トリュフバーガーに並ぶ魅力ある商品を出せるかどうか。本当の勝負はこれからにかかっているようだ。
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