ヴィレヴァンが知らぬ間にマズいことになってた 「遊べる本屋」はなぜ魅力を失ってしまったのか
ヴィレヴァンと空間的に類似しているのが、驚安の殿堂として知られる「ドン・キホーテ」だ。ドンキもまた、複雑な通路を持ち、雑多な商品を多数販売している。また、宣伝POPも工夫されていて、ヴィレヴァンらしさを感じさせる。しかし、ヴィレヴァンが低調なのに対し、ドンキは非常に好調で、創業以来増収を続けている。
空間という視点でみれば、似通った世界観を持つ両社だが、なぜその差は開いてしまったのか。
端的に言って、それは、ドンキがある段階で、この「押し付けがましさ」から脱却したからだと思う。
意外と知られていないことだが、ドンキは、2008年以降、「MEGAドンキ」というGMS業態の開発を進め、ちまたのドンキには、いわゆる一般的なスーパーのような店舗が増えてきた。ドンキ特有のごちゃついた空間はなく、スーパーのように区画がはっきりとわかるのが特徴だ。
そして、それらの店舗は、地域住民から普通のスーパーとして使われ、GMSの分野で業績を上げてきた。
また、立地によってZ世代向けの「キラキラドンキ」や、家飲み専用の「酒ドンキ」など、その立地場所に応じた業態の開発を多く進めてきた。いわば、ドンキは「世界観」を柔軟に変化させ、企業側の意図を強くは押し出してこなかったのだ。
ブックオフもまた、「押し付けがましさ」から離れている
今回の「ヴィレヴァンやばいんじゃない?」問題について、SNSの投稿で若干見受けられたのが「ブックオフとヴィレヴァンみたいに、平成を支えてきたカルチャー企業の衰退が目に見えてきたな」というものである。
しかし、こうした意見は、実情を反映できていない。というのも、まさに、ブックオフはある種の「押し付けがましさ」を持たず、柔軟にその業態や扱う商品を変えてしぶとく生き残っているからである。
むしろ、「押し付けがましさ」の問題から見れば、両社は対極にある。
ブックオフは、2016年以降、古本以外の商材に力を入れ始めている。トレーディングカードや洋服などがその代表だ。
最近のブックオフの店舗に行くと、「ここ、トレカ屋?」と思うぐらいには、トレーディングカードの扱いが増えている。ブックオフが好調なのは数値的にも明らかで、2023年5月期には過去最高益である27億円を叩き出している。その大きな要因がトレカの取り扱いである。
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