インフレ下でも、あの商品がバカ売れする理由 これからの時代のヒットにつながる共通点とは?

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今までの常識を破った男性用下着で、完売状態が続くほどの大ヒットを飛ばしている商品があります。

それが女性用下着メーカーとして知られるワコールの男性用インナーウェアブランド、「WACOAL MEN(ワコールメン)」から登場した男性用高級下着「レースボクサー」です。

2022年には『GOODDESIGNBEST100』を受賞し、「WACOAL MEN」ブランドサイトの訪問者数も2倍以上になったそうです。

そう聞くと、いったいどんな下着なのか、ちょっと気になってきませんか?

オトコも下着でアゲたい

「レースボクサー」の価格は1枚4000円弱で、ラグジュアリーな総レース使いが特徴です。カラーはブルーや黒だけでなく、赤、ピンク、イエローとバリエーションが豊富で、コレクションする楽しさもあります。ジェンダーレスやLGBTQ+などの時代性にもマッチしており、メンズインナーの新しい提案として注目されています。

しかもセクシーさや美しさだけではなく、レースを使っていることから通気性に優れ、アウターに裾のラインが出にくく、穿き心地も抜群とのこと。一度試すと他が穿けなくなるという評判です。

「レースボクサー」の開発チームを取材したワコールの記事によると、メンズインナー全体の商品企画を担当する稲積美紀さんは、以前から「レースを使って男性用のパンツを作ってみたい」という夢がありました。男性にとって下着は日用品。女性のようにランジェリーで非日常を楽しむ習慣はあまりなく、黒、紺、グレー系のベーシックなデザインが主流です。

ところが2020年にワコールが消費者調査を実施したところ、データから「男性用インナーも女性用と同様に、きれいさや上品さが求められてきている」ことが読み取れたのです。メイクやネイルを楽しむ人が増えているように、男性たちの美意識に変化が起きている。今なら女性が下着に抱いている華やかでワクワクする感覚を、レースを使ったインナーウェアで男性にも実感してもらえるのではないか──。

そんな思いから「レースボクサー」の提案に至ったといいます。稲積さんたちが手応えを感じたのは、初めてできたサンプルを社内で試着してもらったときでした。「穿いてみて気分がアガった」という声が寄せられるなど、男性たちの反応がとても良かったのです。

実際、2021年10月にクラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で先行販売したところ、目標金額の30万円に対して、約700人が320万円分の「レースボクサー」を応援購入。その後、伊勢丹新宿店など3店舗とオンラインで販売を始めると、発売から10日で3カ月分の在庫が完売しました。

人が何に価値を感じるかはさまざまですが、自分の気持ちがアガるものに対しては、多少高くてもお金を出すものです。このレースの下着だけの事例ではなく、これまで一般的には女性の気分をアゲていたもの(下着、化粧、美容、ネイルなど)が今、男性の気分をアゲるようになってきています。

今後このジャンルで大ヒット商品が生まれてくることは間違いないでしょう。

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