沖縄「米軍基地」用地が競売にかけられる驚愕実態 「軍用地バブル」に生じた在庫過多の異変
こうして4つの軍用地の地主になった女性には年間で合計約165万円の賃借料が入る。女性は「値上がりしたが売るつもりはない。そろそろ仕事を辞めるので、年金の足しにする。2人の息子に相続してもらえばいい」と話している。
ところが、2022年に入ると大きな変化が訪れる。ロシアのウクライナ侵攻やアメリカの景気過熱によりインフレが進行。欧米の金融当局は金利の引き上げに動いた。
黒田日銀は長期金利の上昇を抑えようと、国債を無制限に買い入れる「指値オペ」などで抵抗したが、日本でも長期金利が上がり始めた。
逆回転を始めた「軍用地バブル」
前述の通り、沖縄の軍用地は、利回りから逆算して価格が決まる。「収益還元価格の日本での先駆けのような金融商品」(地元の不動産鑑定士)と言われる。軍用地を買う人は、基地内で現地を見ることが難しいこともあり、利回りだけで投資を決めることが珍しくない。
それだけに、軍用地には金利の影響が大きい。地元の不動産鑑定士は「これまでの低金利は異常だったので、軍用地の価格は高くなりすぎているかもしれない。長期金利が上昇しており、その影響は避けられない」と話す。
長期金利が上がれば、金融商品に投資家が期待する利回りも上がる。軍用地は賃借料が上がらなければ、元本である土地の値段(倍率)を下げなければ利回りは上がらない。金利が下がった時に土地代が上がったことの逆が起きるというわけだ。
2023年に競売にかけられた軍用地は、このころから銀行が差し押さえて手続きを進めてきたものだ。
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