ここで少し、僕が後に、ある渋谷の成長中の会社のコーチングをしたときの話をしよう。
仏頂面の総務部長がいたが、彼は僕を少し斜めに見ながら、「会社が面白くないのが問題です」と言った。僕はハワードがそうしたように、「では、それを『どのようにすれば~~か?』のかたちに言い換えてください」と言った。
彼が答える。「どのようにすれば会社が面白くなるか?」。
僕は彼に聞いてみた。「その疑問形にしたら、なにが変わりましたか?」
彼は「そんなこと考えたことなかったです」と答えた。
たぶん彼は、会社が面白くない理由を説明するのは上手だったと思う。しかし、「どのようにすれば」の質問文にしたら、初めて答えを考えてしまった。
できない説明より解決策を
僕は一言も答えを考えてくれとも言ってないし、ましてや僕にそれを言ったからといってボーナスが上がったり、評価が上がったりするわけではない。それなのに、答えを考えてしまった。
「できない説明ではなく、解決策を言ってほしい」というのは、すべての経営者が社員に対して求めていることだが、それを手に入れられる経営者は多くない。
ところが、「どのようにすれば」と言い換えただけで、その状況がいとも簡単につくれてしまったのである。
僕は彼に言った。「質問のかたちにしたら、答えを考えてしまったわけですね?」
彼は「はい」と答えた。
「じゃあ、もっと面白い質問のかたちにすれば、もっといろんな人が考えたりしてくれるかもしれませんね」と僕。
「どうすればいいんですか?」と彼。
「先ほどの疑問文『どのようにすれば会社が面白くなるか?』を、『これが起こったらいいな〜』と思うような文章にすればいいんです。最初は難しかったら、『日本一』とか『世界一』といった言葉を入れれば、そうなりやすいです」
そう僕がアドバイスをすると、彼は「どのようにすれば渋谷一魅力的な会社を築けるだろうか?」という魅力的な質問文を彼はひねり出した。