絵を描く入試問題は、学生のここを見ている 「身近な動物」を描けない子どもが増えたワケ

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実際のニワトリ、ハエはこちら。皆さん正確に描けたでしょうか?(写真上:Sa-Ga / PIXTA、写真下:HAKU / PIXTA)

連載の第1回「コートの男で小論文」の記事中にも記したように、われわれは目先の情報を獲得することに奔走し、心のゆとりや、さらに言うならば本来人間に備わっているべき人間性のようなものを喪失しつつあるのではないか。

確かに小学校にニワトリ小屋がなく、生き物に直に触れることのない子どもたちが増加していることはわかる。また、衛生面の向上から、ハエも身近には見られなくなっているのも事実である。

だが、数学が100点だからという理由だけで、4本足のニワトリを描くような秀才君が医学部の門をくぐることになるとしたら、どこか不安だと感じる人は多いだろう。それは大学側も同じように案じていることなのである。

正確な絵を描く子の特徴は?

ところで、私はこの講義の後、30名の子どもたちの出身地や模試の成績と絵のレベルに何か相関関係がないか、検討してみた。先に断っておくが、対象となる母集団が多くないため、この情報だけをもって何らかの現象を特定し、決め付けることはできない。

だが、いくつかの興味深い傾向が見て取れた。それは、極端に模試の成績が良く、かつ地方出身の女子に、実像に近い優れた絵を描く子どもが多かったという点である。一方、都会育ちの男子で、小学校から私立で育った子どもの絵は、総じて稚拙な感じで誤りを含んでいた。

なんとも言えないが、やはり育まれた環境が子どもの特性に大きく影響し得ると考えられる。さらに、観察力、記憶力など複数の能力が絵の完成度に影響を及ぼしているのかもしれない。

いずれにせよ難関医学部入試では、この問題のように、あらゆる方面から子どもの観察力、推理力と、それが形成されてきたバックグラウンドを探ろうとする傾向が強まっているのである。

このほかにも、医学部入試に関する情報を小林公夫オフィシャルサイトにて紹介しております。ぜひ、併せてご覧ください。

 

小林 公夫 一橋大学博士、作家

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こばやし きみお / Kimio Kobayashi

専門は医学と法、生命倫理学。現在は生殖医療や実験的治療行為など先端医療の研究に従事している。研究の傍ら、医学部受験生の指導にあたり、医学部受験予備校インテグラ、医学部&東大専門塾クエストで、医学概論、医学部生物学、医学部小論文・面接などを指導。著書多数。代表作にシリーズ累計21万部突破の『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『新「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』「オトバンクFeBe版勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(PHP研究所)、『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)などがある。『医学部の面接 [3訂版](赤本メディカルシリーズ)』、『医学部の実践小論文 [改訂版](赤本メディカルシリーズ)』(教学社)は医学部受験生のバイブル。医学部入試に関する情報はオフィシャルサイトにも掲載している。

 

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