台湾、3期目を迎える民進党政権が抱える苦悩 若い世代の忌避感が生んだ「ねじれ議会」
頼氏は勝利確定後の記者会見で「世界に対して台湾は引き続き国際社会と民主主義の盟友とともにあることを示した」として、蔡英文政権の外交・国防路線が評価されたとの認識を示した。
実際、中国の軍事的な圧力が強まり、世界的に台湾海峡の緊張は高まっているといわれるが、アメリカの台湾防衛関与の姿勢も強まっていることもあり、対中抑止が機能して台湾国内では警戒感をもちつつも落ち着いている。
ただ、「外交手腕が評価された」というには厳しい勝ち方でもある。頼氏の得票率は4割をかろうじて超えるにとどまり、議会では単独過半数を失った。今後は少数与党として厳しい政権運営を迫られるのが予想される。民進党政権にすべてを任せるわけにはいかないと台湾の有権者は考えた。
若い世代で広がる2大政党への忌避感
思わぬ健闘を果たしたのは第3政党の台湾民衆党を率いる柯文哲候補だ。現代台湾政治が専門の平井新・東海大学特任講師は「柯文哲氏の得票率が予想していたよりも高かった」と指摘する。2023年12月には支持率が一時10%台に低下し、失速したものの最終盤で巻き返した。
柯氏は主に若い世代から支持されている。世論調査によっては20代で5割の支持を誇るが、60代になると1割程度になる。
この背景を平井氏は「若い世代は、2期8年の執政を経てエスタブリッシュメント化しつつある民進党に対して、権威主義体制時代の負のイメージを持つ国民党に対する嫌悪感に劣らないほどの批判意識を強めている」とみる。
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