トヨタ式節電術、削減コストの「見える化」で効果を出す

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トヨタ式節電術、削減コストの「見える化」で効果を出す

トヨタ自動車と中部電力は23日、名古屋市内で中部地域のトヨタ販売店向けに「夏季節電セミナー」を開催した。

トヨタでは昨年11月から、中部電力の協力を得て系列販売店の省電力化に取り組んできた。2009年度にはトヨタ直営の販社15社の平均で、1社あたりの電気代は1億3700万円。電気代だけでも1割削減できれば年間1400万円、1店舗あたりでも36万円の経費削減が可能になる。

このプロジェクトを担当した同社環境部の深田新主査は「まず、しっかりデータをとって”見える化”することが大事。削減した金額を把握できれば、省エネへのモチベーションがあがる」と語る。

先行して取り組んだカローラ名古屋では、5月に金額換算で前年同月比20%の削減に成功したという。

ポイントは、ピーク電力、つまり瞬間的な使用電力の最大値を抑えることだ。基本料金はその月のピーク電力の水準で自動的に決まり、その後1年間は下がらない仕組みになっている。

あるトヨタ系販社の調べでは、傘下の店舗が払っている電力料金の4割弱が基本料金。電力使用量は比較的少ないのに、基本料金が高いため高い電力料金を負担している店もあった。いわば、トータルの使用量という「面積」は大きくないのに、ピーク電力が一瞬高くなったために損をしているわけだ。

ピーク電力の「高さ」を抑えるためには、いちどに大量の電気を使わないことが重要になる。たとえば、エアコンのスイッチを一斉に入れるのではなく、段階的に稼働させれば起動時の電力消費を抑制できる。そうすればピーク電力の水準を上げずに済むわけだ。

23日のセミナーには40社の販社、レンタカー会社などから64人が集まった。今後トヨタでは、要望のある販社には、先行する企業での取り組み事例を講習で伝えていく方針だ。

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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