台湾総選挙・支持者獲得では「空中作戦」も発生 台湾選挙のリアル②・既存の選挙戦に自信がない政党

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、今回はテレビの討論番組によく出演する国民党の鍾小平だけでなく、民衆党も人気MC出身で無所属の于美人が推薦し、選挙戦が大きく変わった。呉沛憶にとって、簡単ではない選挙戦となった。

呉沛憶は「民衆党の勢いが強いが、投票するかどうかは国民党と民進党よりも低いようだ。われわれが有権者を見ていると、民衆党が推薦した干美人を支持することよりも、既存の政治体制について満足していないと見える。実際に、于美人や民衆党に投票するかは未知数だ」と指摘する。

「既存の政治に飽きられている」民進党の危機感

さらに「過去2回の選挙で、私が市議会議員に当選したのは多くの若い有権者が投票してくれたからだ。彼らは民衆党の支持者ではないかもしれない。しかし、今回は民衆党の『民進党も国民党もどちらも嫌い』というスローガンに強く反応している。私が若者からの支持をひきつけることができるか、大きな課題だと考えている」と打ち明ける。

この選挙区で呉沛憶が世代間での見解の差を大きく感じているという。「20代の有権者が政治への関心を持つようになったとき、そして参政権を持ち始めたときは、すでに民進党が長期政権となった状態だ」と指摘する。

「そのため、彼らは政治に新鮮さを強く求めている。とはいえ、40~70代の有権者が望むことは、国民党支持であれ民進党支持であれ、激しい変化のない安定感」だと呉沛憶は見ている。

国民党は陸上作戦に強いが空中作戦に弱い、民衆党は陸上作戦に弱く空中作戦に強い。これと比べると、双方バランスよく力を持つ民進党には、どちらの作戦でも伸びしろがあるとも言える。

とはいえ、1996年の総統直接選挙以降、1つの政党が3期以上続けて政権を握った例はまだない。「安定感」を追求する有権者もある程度長期政権疲れを感じており、これまで民進党の支持基盤だった若者層は今、「第3勢力」として急浮上している民衆党に近寄っている。若者と中高年層の民心をともにつかむことは、民進党にとって難しいことだ。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事