「国内工場はまさに砂上の楼閣。分散化を真剣に検討する」。鈴木修スズキ会長が言及
スズキの鈴木修会長は23日、国内生産拠点の分散化を検討することを明らかにした。
スズキは同日、都内で今2012年3月期の業績見通しを発表した。会見の席上、鈴木会長は「当社の国内工場は静岡県と愛知県に集中しているが、浜岡原子力発電所に立地が近いうえ、浜松の海岸沿いは砂丘が続いている。まさに砂上の楼閣。分散化せざるをえない」と自ら発言。加えて「中小企業にとって分散化はコストアップになる。政府には分散化投資の税制控除などを検討してもらいたい」と語った。
小型乗用車「スイフト」などを生産する相良工場は浜岡原発から約11キロメートルしか離れていない。他の3つの4輪・2輪車の組み立て工場も、「津波、液状化、原発のいずれかが引っかかる」(鈴木会長)。工場の耐震化や堤防建設等の予備的対策では足りず、分散化を検討せざるをえない状況という。
具体的な時期や分散化の場所は明言しなかったが、「海外に持っていくことになると大きな雇用問題になる」と指摘。また「浜岡原発の30キロメートル周辺には130社ほどの企業がある。もし何か起これば、福島原発の比ではない」とも述べた。
完成車メーカーが拠点を分散化すれば、部品メーカーを含めた業界や地元経済に与える影響は大きい。一方で国内拠点が集中するスズキにとっては当然の検討ともいえ、今後国内拠点の分散化が大きな議論になってきそうだ。
(写真は今年1月の新車発表会見における鈴木修会長)
(並木 厚憲 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら