さらに透明化のために①政治資金パーティー券の購入の公開基準を20万円超から5万円超に引き下げる②現金を禁止し原則振り込みにする――などを提起。併せて、山口氏は岸田首相に対し、「厳しい姿勢でのぞまないと、自民党は信頼回復できない。わが党は、きつい玉を投げる」と宣言した。
派閥解消含め抜本改革断行は望み薄
一方、刷新本部での改革案取りまとめのリーダー役を担うとみられるのは、昨年12月に就任したばかりの渡海紀三朗政調会長で、新たな大綱づくりに強い意欲をにじませる。これに対し、党内には「政治資金の透明性確保は必要だが、派閥をなくすことはありえない」という声も多く、刷新本部の今後の協議で、大綱見直しや派閥のあり方で抜本的改革に踏み込めるかは疑問視する声が多い。
そもそも岸田首相は、今回の問題が発覚するまでは岸田派会長を務めていた「派閥人間」(側近)。無派閥の菅前首相らからの批判を受けて派閥離脱を宣言したが、「退陣後の派閥復帰が前提」(岸田派幹部)とみられている。それだけに、「派閥の弊害除去といっても本気度は感じられない」との声が支配的だ。
さらに、党内の口さがない向きは「首相の本音は巨大派閥安倍派の分裂・解体が目的だが、安倍派は結束して抵抗するはず」と派閥抗争の勃発まで予測する。確かに、同党の派閥抗争の歴史を振り返れば、「自民党をぶっ壊す」と叫んで長期政権を築いた小泉純一郎元首相の本当の狙いは「当時の最大派閥だった橋本派(現茂木派)の追い落とし」だったとされる。
これに対し麻生、茂木、岸田の3派体制で政権運営する首相にとっては、「安倍派をぶっ壊すことで清和会支配を突き崩す絶好のチャンス」でもあり、首相サイドからは「時機を見て衆院解散に踏み切れば、安倍派は崩壊する」との声も漏れてくる。
このため、「双方が“死なばもろとも”でぶつかりあう事態もありえる」(自民長老)との見方も出始めており、「政治改革とは程遠い国民不在の“闇試合”が続く」(同)ことになれば、国民の政治不信が頂点に達し、岸田内閣の支持率も過去最低を更新し続ける事態にもなりかねない。
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