利他のすすめ 大山泰弘著
日本理化学工業は黒板用チョークで日本一の中小企業だが、どのようにして知的障害者55人(全社員の74%)が立派に働く会社に育ったかの体験談と、そこから学んだ心の持ちようを同社会長が語った書。当初は一人でも難しいと思った障害者の雇用だったが、さまざまな困難を乗り越えながら雇用数を増やしていくさまがつづられる。突然、暴れ回る人、あるいは無断欠勤が度重なる人にどう対応したか。単なる説得では効果がないと知った社員の取った方法が面白い。
これは苦闘の記念碑であるとともに、著者開眼の記録でもある。障害者を含めた社員たちから学べたことに感謝する立場から、人の役に立つことで自分も幸せになりプラスまで回ってきたという。障害者に利他の精神を教えられたというだけでなく、経営や対人関係の要諦が一般化されて語られているために、多くの示唆が得られる。あまたの経営ノウハウ書以上に学ぶことは多いだろう。(純)
WAVE出版 1470円
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