ゴルフ用品市場、11年は2ケタ減の苦境、業界を挙げた連携策が必要に

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一方で、震災によってゴルフをやめる年齢が早まり、ゴルフ人口が大きく減少する2015年問題が前倒しになったと見る業界関係者は多い。さらに「新製品でもいきなり3割引き、4割引きのメーカーもある」(関係者)。ゴルフクラブのマークダウンの時期が早まり、価格競争が加速している。

こうした危機に対して、どのような対応が考えられるのだろうか。

価格競争の回避は容易ではない。というのも、市場が縮小傾向にあってもメーカー(ブランド)の淘汰は進んでおらず、滞留在庫が増えれば値引き圧力は高まるからだ。メーカーは低価格に負けないコスト競争力をつけるか、嗜好品としての特性を踏まえ、ゴルファーが満足感を得られる世界観、ブランドを確立するといった付加価値をつけるしかない。

ゴルフ人口の減少に対しては、ゴルフからリタイアするゴルファーの年齢を少しでも先延ばしすることと同時に、新しいゴルファーを増やすことが大切だ。「興味を持ってくれたゴルファーに、楽しんでもらう仕掛けを続けること。関連業界が連携して、もっとゴルファーのプレー回数を増やす努力をするべき」と矢野経済研究所の三石氏は語る。

ゴルフ用品界社の片山社長も、ゴルフ界の連携がポイントと言う。

「これまでは、長尺ドライバーをメーカーが開発しても練習場が使用を禁止したり、ドレスコードにうるさいゴルフ場がファッション性の高いゴルフウエアの着用を認めないなど、縦割り意識が強く弊害が大きかった。でも、震災によって横の連携が起こり始めている」(片山社長)。メーカーとゴルフ場の連携によるコンペや、プロを含めた業界を挙げたチャリティ活動などがその一例だ。

ゴルフ用品市場が震災ショックから立ち直るためのハードルは高く、個々のメーカー、小売りの自助努力だけでは足りない。関連業界が危機意識を共有し、ゴルファーが少しでもゴルフを楽しめる施策を打つことが必要だ。もはや、問題を先送りすることはできない局面にある。

(週刊東洋経済編集部 =週刊東洋経済2011年6月25日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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