2024年の日本株は「方向感が出にくい年」になる 「甲辰(きのえたつ)」の年で考える日経平均

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また下落した年は、国のトップ辞任、金融不安(証券不況や生命保険の破綻)などがきっかけとなっていることが多い。2024年の辰年は、何かこうした出来事があるのだろうか。上昇の年になるのか、下落の年になるかを見極めたい。

甲年の上昇時は「市場改革」「為替」などがキーワード

一方、西暦なら末尾に「4」がつく甲の年の相場はどうだろうか。甲年は、平均騰落率では+3.8%と十干中8位と結果は今ひとつだが、勝率でみると4勝3敗と6~7位と結果は平均的だ。年間騰落率や主な事件は以下のとおりだ。

【1954年:▲5.8%/主な事件】造船疑獄による政局不安(4月)
【1964年:▲0.7%】「日本『IMF8条国』移行」OECD加盟(4月)、「東海道新幹線」東京新大阪間開業、東京オリンピック開催(10月)
【1974年:▲11.4%】日中貿易協定調印(1月)、ウォーターゲート事件でニクソン大統領辞任(8月)、田中金脈問題の発覚で内閣総辞職(12月)
【1984年:+16.7%】電電公社の民営化法案成立(12月)、特金相場でディーリング活発化
【1994年:+13.2%】ゼネコン汚職、協調介入により円高懸念が後退(6月)
【2004年:+7.6%】企業の再生機構の活用・都市銀行統合・通信買収で外国人買い、インドネシア・スマトラ沖でM9.0の大地震(12月)
【2014年:+7.1%】ロシアがウクライナ南端のクリミア半島に軍事介入(3月)、消費税が5%から8%に(4月)、過激派「イスラム国」が国家樹立を宣言(6月)、集団的自衛権の行使容認を閣議決定(7月)、FRBがQE3終了、日銀が追加緩和を決定(10月)

こうしてみると、日経平均株価が上昇した年は、民営化(電電公社)やM&A(企業の再生機構の活用・企業統合・企業買収)による株式市場改革や、日本の金融緩和や協調介入(円高是正)などがきっかけになっているようだ。

また、下落した年は国のトップ辞任や政局不安、金融不安(証券不況や生命保険の破綻)などがきっかけとなっていることが多い。2024年の甲年は、こうした出来事があるのか。どのような年になるのかを見極めたい。

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