2024年の日本株は「方向感が出にくい年」になる 「甲辰(きのえたつ)」の年で考える日経平均

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

参考までに、2024年の60年前である1964(昭和39)年を振り返ってみよう。 日経平均株価の推移をみると、1月の初値1204円、日本共同証券(1936年秋からの証券不況で供給過剰だった株式を買い上げるために設立された機関)の発足で1月29日1338円まで上昇した後は同証券の買い取り金額の規模の少なさから4月9日に1203円まで下落した。

その後、「1200円割れ阻止」で同証券が買い出動したため、7月3日には年初来高値1369円をつけた。だが供給過剰による需給悪化は止まらず11月9日には再度安値1203円(10月7日ザラ場は1196円台)まで急落したが、同証券の買いにより1200円割れを死守して年末は1216円で年を終えた。

結局、この年の年間騰落率は▲0.7%。日本共同証券の孤軍奮闘で、なんとか日経平均の底割れを阻止した年だったのだ。このように、1964年の甲辰の相場を例にとっただけでも、ものすごい年だったことがわかるが、ここで改めて「支」の辰と「干」の甲を別々に見ていこう。

辰年の上昇時は「ランドマーク開業」などがキーワード

まず、辰の相場格言は「辰巳天井」といわれるが、上昇相場では辰が天井になっていない(巳の天井が多い)。日経平均株価は1952(昭和27)年以降の平均騰落率が+28.0%と十二支中堂々の1位だ(1952年の+118.4%の影響が大きい)。ただし過去6回の勝敗は、4勝2敗で十二支中同率5位(5~9位)と、ものすごくいいというわけではない。日経平均株価の年間騰落率や、主な事件は以下のとおりだ。

【1952年:+118.4%/主な事件】「サンフランシスコ和条約発効」で独立国として主権回復、「旧日米安保条約発効」(4月)、東京飛行場返還(7月)
【1964年:▲0.7%】「日本『IMF8条国』移行」、OECD加盟(4月)、「東海道新幹線」東京新大阪間開業、東京オリンピック開催(10月)

【1976年:+14.5%】第一次天安門事件(4月)、ロッキード事件で田中角栄前首相逮捕(7月)、中国の毛沢東主席死去(9月)
【1988年:+39.9%】世界最長の海底トンネル「青函トンネル」開業(3月)、瀬戸大橋開通(4月)、大証と東証で株価指数先物取引開始(9月)
【2000年:▲27.2】小渕恵三前首相死去(5月)、三宅島噴火(7月)、日銀ゼロ金利解除を決定(8月)、そごう・大正生命・千代田生命などが破綻
【2012年:+22.9%】東京スカイツリー開業(5月)、FRBがQE3を導入(9月)、衆議院解散により政権交代(11月)、アベノミクス開始(12月)

 こうしてみると、日経平均株価が上昇した年は、国家の主権回復や国内外政治の安定、金融市場の国際化・開放、日米の金融緩和、ランドマークの開業などがきっかけになっているようだ。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事