バッテリーは17.8kWhとそれほど大きくないので、「ノーマルモード」で、調子に乗って無造作に加速を繰り返していると、減るのが早い。残量が45%を切るとエンジンが始動する。あるいは「チャージモード」を選ぶと、即座にエンジンが始動して充電を開始する。
エンジンの存在感は、かなり小さい。強めにアクセルペダルを踏んで回転を上げてみて、ようやくかすかな振動と小さな音が意識されて「回っているな」とわかる程度だった。
「開発スタート時は、どんな音にするか、社内でいろいろ議論がありました」と、川田主幹は言う。
「当初はけっこう勇ましい音になって、それではクルマのキャラクターに合わないのではないかと……。そこで、静かで、かつ耳ざわりのいい音色をめざしたのが今回の結果です」
MX-30をしてマツダは「さまざまなライフスタイルや価値観に合ったモデルを見つけて」もらえるとする。すぐ思い浮かぶユーザー像は、後席に小さな子どもを乗せるようなファミリー。
フリースタイルドアと名付けられた後席用ドアは、前席のドアを開けないと開閉ができない仕組みのため、子どもが勝手に外に飛び出す心配はない。
スペース的に大人も乗れるけれど、クーペライクなデザインゆえ、「2+2」として使う人も多いのではないだろうか。
後席のバックレストを倒せばゴルフバッグが2つ積めるし、「MX-30はコンセプトがわかりにくい」という声も一部にあるようだけれど、実は幅広いマーケットに対応するモデルだといえる。
加速は、ICE(エンジン車)よりスムーズで、それでいて乱暴なところはいっさいない。ハンドルを切ったときの動きはしっかりしていて、車線変更など安定して行える。
あいにくワインディングロードのようなところは走れなかったが、操舵したときの軽快感が強いので、「気持ちよく運転できそうだ」と感じられた。
新たな選択肢として
内装も質感が高い。従来のMX-30シリーズと大きく変わったところはなく、コルクやペットボトルの再生素材を使ったり、シートにリサイクル糸や人工皮革を積極的に用いたりと、このクルマに興味を示す人の志向性に合っていそうなコンセプトで貫かれている。
シートそのものも座り心地がよく、そこに身体を落ち着けてダッシュボードを前にすると、「落ち着く空間だ」と改めて感じられた。
駆動方式は前輪駆動のみで、価格は423万5000円から。内装やボディカラーなどの仕立てに応じて、いくつかのモデルがラインナップされている。「エディションR」という特別な内外装を持ったモデルも限定発売される。
小さな子どものいるファミリーカーとして使うのも、「2+2」として使うのも、新たな選択肢として「おおいにアリ」なクルマだと思う。
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