リコー社長・近藤史朗--日米で人員1万人削減へ、改革なくして未来はない
──顧客のニーズが大きく変化している、ということですね。
企業は印刷に関するコストを下げるため、関連業務をアウトソーシングする動きを強めている。当社も事業の仕組みを変えていかなければならない。「リコーはヒット商品を出せない」と指摘されることが多い。ハードが売れればうれしい。ただ、今はお客様との継続的な関係を大事にすること、つまりサービス事業に軸足を移すことが重要だと考えている。
体質改善が急務 退職勧奨も辞さない
--サービス重視の一環として新中計では、「MDS(事務機運営・管理の一括受託サービス)強化」を掲げました。
企業に対して、機器の再配置などを通じて、印刷関連コストの削減につながる提案をするのがMDS。この事業展開を加速する。大手企業担当の営業員すべてがMDSを提案できるようにするほか、専任担当者も現状比2倍の1000人に増やす。同事業の売上高は現在1000億円程度だが、13年度には3000億円に引き上げる目標だ。これは、MDSで世界トップシェアを獲得することを意味する。
--MDSは米ゼロックスグループが先行し、キヤノンも事業強化を宣言しています。ライバル企業に勝てますか?
リコーは世界180カ国に販売網を張り巡らすなど、強いインフラを持っている。また、2008年には、欧米市場を中心にサービス拠点を有する米アイコン社を買収し、販売・サービス網をさらに拡張した。
機器やソフトの開発、ITインフラの構築を積極化するために、開発会社も買収した。反撃への体制がようやく整った。他社に負けるつもりはない。
──新興国もMDSで深耕していく考えですか。
先進国と新興国の仕掛けは、若干違う。先進国では、先述のとおりMDSを中心にサービス事業を拡大する。一方、中国など新興国では、品揃えを拡充する方針だ。3年間で、需要旺盛なA4の複合機など10種類以上の新製品を投入する。また、他社のように無理な価格戦略を仕掛けるのではなく、まずは低価格帯製品の提供に向けた開発・生産効率化を模索する。テレビ会議システムなど、周辺機器の提案も進める。