生成AIが広げる「少数の一流」と「それ以外」の格差 「2:8の法則」の「8」にあたる仕事が減る
このように、一番の骨格となる部分を過去のヒット作を模倣する形でAIに作らせて、細部は駆け出しの若手作家に格安の報酬で依頼するような脚本づくりが常態化してしまったら、映画業界はどうなるのでしょうか? ですから脚本家の組合はいち早く動き、プロデューサーに対して脚本にAIを使わないように要求したのです。
日本ではイラストレーターの世界で同様の問題が起きています。生成AIに萌え画を学習させれば、ゲームの新キャラも、新しい漫画作品の主要人物も簡単に生成できます。一瞬で数万種類のゲームキャラを生成することだって可能です。
あらゆる表現者の分野で仕事が消滅
ただ、日本人はこのような問題に対して、誰にどう抗議すればいいのかわかっていません。インターネットが出現したときは旅行会社の数が減ったり、大手証券会社の社員が減ると予測されていました。そして10年経ってみると実際にそうなりました。
音楽のサブスクが始まったときも、CDの売れ行きは大幅に下がっていくと予測されていました。実際そのとおりになって、古いやり方を続けていた音楽アーティストたちは、どうやって生計を維持すればいいのかまったくわからなくなりました。
これと同じことが、2020年代後半から2030年代前半にかけて、あらゆるクリエイター、あらゆる表現者の分野で起きていきます。クリエイターとしての職業はなくならないかもしれません(なくならない可能性は高いでしょう)が、どう考えてみてもイラストレーターも、写真家も、脚本家も、役者も、かなりまとまった量の仕事が消滅することは素人でも予測できます。
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