「長期投資の肝!」時代のど真ん中産業の見極め方 ターゲット業界を間違えれば成果は出ない
こうして産業社会を俯瞰して見ていく習慣を身につけると、どこに投資するのが自分にとって適切なのかを理解する手がかりになります。
投資先の選定はきわめて重要です。たとえば、あなたが20年後を投資のゴールにしたいと考えていたとしましょう。ということはつまり、あなたがこれから投資先として選ぶ会社は20年間存続することを前提条件としなければいけないことになります。株式市場は常にさまざまな要因で変化しているので、あなたの保有する銘柄がずっと右肩上がりで、業績と株価がともに上がり続ける可能性は0に近いでしょう。
業績が悪い時期があるのはやむを得ませんが、最低限、あなたが掲げる投資のゴールまでその会社が存在しなければ、投資する意味がなくなってしまいます。もっとも株式投資をするのに、1社に全財産を投資するような人はいません。分散投資が基本ですから、複数社の株式を持つことになるでしょう。
でも投資先を20銘柄に分散したとしても、20年後にはそのうちの10社が倒産などでなくなっていたということがあってはならないわけです。大切なのは、時代を作るような「ど真ん中の産業」がどの業界なのかを見極め、そこから投資先を決めていくことです。
なぜ渋沢栄一は一時代を築くことができたのか
歴史に名を残すような資本家はみな、この「ど真ん中の産業」の、それこそど真ん中に存在していました。だからこそ成功を手にできたのですね。
たとえば日本で初めて銀行を設立し、500以上の企業の設立・運営に関わり「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一氏(以下、渋沢と表記します)は、養蚕を営む農家の出身です。
1840(天保11)年生まれの渋沢は、家業であった畑作や当時のポピュラーな染料であった藍玉の製造・販売、養蚕などを手伝いながら、学問にも励みました。ここが大きなポイントです。