「長期投資の肝!」時代のど真ん中産業の見極め方 ターゲット業界を間違えれば成果は出ない
『会社四季報』の巻頭ページには毎号、「業種別業績展望」というページがあります。これがとてもわかりやすいので、ぜひ一度見てみてください。以下、この記事で取り上げる売上や営業利益などの業績は、すべて『会社四季報』2023年秋号に掲載されているものを使用します。
『四季報』の読み方
『会社四季報』では日本の産業を製造業と非製造業、別枠で金融の3つに大きく分類しています。その売上高の比率は製造業が49%、非製造業が43.4%、残り7.6%が金融業です。売上高自体だけを見ると、非製造業の卸売業がいちばん大きくて約123.7兆円近くです。
ところが、売上に対して本業による儲けであるところの営業利益は、4兆7852億円とそれほどでもありません。というのも、仕入れて販売するため売上の規模は大きくなりますが、本当の付加価値(利益)は「売上・仕入れ」の差額ということで小さくなるわけです。
小売業も同様の理由で、売上に比べて本来の付加価値はそう大きくありません。
非製造業の営業利益でいちばん大きいのは、情報・通信業の7兆0822億円ですが、この数字を鵜吞みにはできません。
というのも、ソフトバンクグループのベンチャー投資のビジョンファンドの運用成績によって、兆単位で営業利益の数字が上下にぶれてしまうからです。非製造業のこうしたもろもろを割り引いて考えると、日本は非製造業ではなく、製造業で成り立っている国ということがご理解いただけるのではないでしょうか。
製造業のうち、特に中心的な存在として日本を支えている業種を見ていきましょう。売上トップ3は、1位が輸送用機器(自動車)の約121兆円、2位が電気機器の約91兆円、3位が化学の約46兆円です。
では、本業で稼いでいる金額がわかる営業利益はというと、1位が輸送用機器の8兆6616億円、2位が電気機器の7兆8324億円、3位が機械の3兆6769億円となります。
これで日本経済に大きな影響を与える業種がわかりました。
しかし、これだけでは横断的な知識を得られただけにすぎません。現実の社会では、さまざまな業種が複合的に絡み合った結果、消費者にサービスという形で届けられます。個別の業種の数字を見るだけでは、そうした実態は見えてきません。