東京海上日動が社長交代、33人抜きの抜擢人事 カルテル問題など逆風下で渡された重いバトン
東京海上ホールディングス(HD)の中核会社、東京海上日動火災保険は12月20日、執行役員営業企画部長の城田宏明氏が2024年4月1日付で社長に昇格し、広瀬伸一社長が代表権のない会長に就く人事を発表した。
今回のトップ交代には2つのサプライズがあった。
1つは抜擢人事だ。城田氏は1992年に東京海上に入社。リテール営業の経験が長く、広報部長などを歴任し、営業企画部長に就いたのは2021年。執行役員になったのは2022年4月。役員就任からわずか2年で、実に33人抜きの社長昇格となる。
城田氏は広報部長を務めた後、事実上、社長の登竜門となっている海外研修プログラムに参加している。そのため社長候補の1人ではあったものの、東京海上のこれまでのトップ人事の慣例や年次バランスを考えれば、「次の次」というのが周囲の一致した見方だった。
城田氏を抜擢した理由について、東京海上HDの小宮暁社長は経営環境が急速に変化する中で、「(経営)変革への実行力」と「年功序列の弊害の打破」をポイントとして挙げている。
HDと子会社のトップを同時交代させるリスク
2つ目のサプライズは、トップ人事のタイミングだ。東京海上はこれまで、HDと子会社の社長を6年周期で交代するのが慣例だった。広瀬氏が東京海上日動の社長に就いたのは2019年。そのため次のトップ交代は2025年と多くの関係者が予想していた。2024年での交代は、“任期満了”を1年早めたことになる。
判断の背景にあったのは、HDと子会社のトップを「同時交代させるリスク」(小宮氏)だ。小宮氏と広瀬氏は同じタイミングで、HDと子会社の社長に就いているが、就任当初から「グループ一体経営と改革の連続性を踏まえると、同時に社長が代わるというのは経営にとって大きなリスクだと感じていた」(小宮氏)。
広瀬氏も小宮氏と同じ考えを抱いており、2022年末からトップ交代を発表するシナリオを両者で話し合っていたという。交代時期は早い段階で決まったものの、後任の人選は簡単ではなかったはずだ。
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