42歳で「環境ベンチャー」妄想を叶えた彼の情熱 NYで上場を目指すJEPLAN、岩元会長に話を聞く

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「JEPLANはリサイクルをやっているのですが、うちの業態を端的に表現できる言葉がこれまでなくて……。実はようやく昨日、思いついたんですよ」と岩元さん。

「従来アパレルは製造と販売を別の会社がしていたけれど、1986年にアメリカのGAPが商品企画から製造、販売まで一貫したビジネスモデル=SPA(エスピーエー/製造小売業)を提唱。これが世界に広まりました。ユニクロやZARAなどはSPAです。

さらに私たちがつくり上げたのは、消費者とリサイクルまで含めた新しいモデルのRecycle+SPA、略してReSPA(レスパ)。企画・製造・販売の先に消費者や仲間がいて、回収・リサイクルによってものが循環する。この小売りの新業態ReSPAを世界に発信していきたいんです。ね、いいと思いません?」

できたての言葉を説明する岩元さんは、宝物を見つけた少年のような高揚感に包まれている。

正しいを、楽しいに変換することが大事

これこそ岩元さんの原動力なのだろう。世界が注目する技術を開発し、創業からわずか16年で多くの仲間を巻き込んできたエンジンは、環境うんぬんと正論から入るのではなく、自ら楽しみ、相手も楽しませること。「"正しい"を"楽しい"に変換することが大事」と秘訣を明かす。

地球上のみんなが手を取り合い、あらゆるものを循環させる。そんなワクワクする世界を目指すJEPLAN。その一端を実現した岩元さんは、今どんな構想を描いているのか。

「メーカーが自由につくったものをリサイクルするためには、研究開発や設備に莫大なお金と時間がかかることが課題です。それなら、そもそも今ある技術と設備でリサイクルできる原料で製品をつくれば、回収し再生してグルグルと循環できる。メーカーから『これをリサイクルできませんか』と問い合わせを受けることが多いのですが、『何でつくればリサイクルできますか』という問い合わせが増えればいいと考えています。

まさにSDGs12が掲げる『つくる責任・つかう責任』ですよね。私たちはこれからも国内外で拠点と仲間を増やし、循環するサスティナブルな社会をつくるために全力を注ぎます」。岩元さんは今日も地球のどこかで「未来の子供達と地球環境と世界平和のため」に楽しく活動している。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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